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特定技能2号は、日本で一定の専門性や技能を持つ外国人が、長期的に就労・定住できる在留資格です。2019年に導入された「特定技能制度」の上位資格であり、熟練した技術を持つ人材が対象となります。
この記事では、特定技能1号との違いや、取得要件・在留期間・試験内容・移行手続きの流れまでを詳しく解説します。企業・外国人双方にとってのメリットもあわせて紹介します。
特定技能2号とは?
特定技能2号は、一定の専門的な技能を持つ外国人が日本で安定的に就労・生活できる在留資格です。熟練した人材を長期的に受け入れることを目的にしています。
そもそも特定技能制度とは、2019年に創設された新たな在留資格の枠組みであり、「特定の産業で就労が可能になった在留資格」のことを指します。深刻化する日本国内の人手不足を背景に、外国から34万5,150人の労働者を受け入れることを目標に導入されました。
特定技能2号は、法務省が定める「特定産業分野」で高度な技能を有する外国人が対象です。単純労働ではなく、現場のリーダーや技能指導者としての役割を担う人材が求められます。
特定技能2号を取得すると、在留期間の更新制限がなく、永住申請が可能になります。これにより、将来的に日本で家族とともに安定した生活を送ることができる点が大きな特徴です。
2025年時点では、建設業・造船・舶用工業など11分野で受け入れが認められています。

(引用元:出入国在留管理庁:特定技能在留外国人数)
特定技能2号の人数は、令和7年6月末の時点ですべての分野を入れて3,073人です。1号と比較すると人数がかなり少なく、試験の難易度が高いことがわかります。
しかし、その分価値が高い資格でもあり、人手不足の日本にとって非常に優秀な人材と言えるでしょう。
特定技能2号を取得するには、まず「特定技能1号」を取得する必要があります。特定技能1号を取得し日本に在留している外国人の数は、令和7年6月末時点で333,123人です。

(引用元:出入国在留管理庁:特定技能在留外国人数)
特定技能1号については、下記の記事も合わせてご覧ください。

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特定技能1号との違い
特定技能2号は、1号よりも高い専門性や経験が求められます。ここでは在留期間や支援体制、家族帯同などの違いを具体的に解説します。
在留期間
特定技能1号は最長5年までの在留が可能ですが、2号は在留期間の更新制限がなく、実質的に無期限での滞在が可能です。具体的には、6ヵ月、1年、3年といった単位での在留期間更新が可能であり、要件を満たし続ける限り、繰り返し延長することができます。
これにより無期限で雇用ができるため、企業は人材の損失を防ぐことができます。
永住権
特定技能1号は永住権の申請ができませんが、2号は永住権申請の対象資格です。日本での生活基盤を築き、以下のような要件を満たせば、永住許可が与えられる可能性があります。
- 日本に10年以上継続して在留しており、そのうち5年間は就労資格または居住資格を持っていたこと
- 素行が善良であること
- 安定した収入があり、自立した生活が可能であること
- 身元保証人がいること
- その人の永住が日本社会にとって利益となると認められること
技能水準
特定技能1号は「一定の技能水準」ですが、2号は「熟練した技能水準」が求められます。業務に対する専門性や技術力が必要であり、実務経験や高度な専門知識を備えていることが前提となります。
さらに、分野によっては他の従業員に対する監督や管理といった役割を担うことも求められ、現場での指導経験が必要とされるケースもあります。
こうした背景から、特定技能2号は単なる労働力としてではなく、現場を支える中核的な人材としての役割が期待されています。
支援の有無
特定技能1号では、外国人労働者が日常生活をスムーズに送れるよう、受け入れ企業が住居の確保や生活オリエンテーションの実施など、さまざまな支援をおこなう義務があります。
特に、過去2年以内に外国人労働者を雇用した実績がない企業の場合は、登録支援機関にこれらの支援を委託することが必須とされています。
一方で、特定技能2号ではこうした支援義務がありません。これは、2号取得者がすでに日本での生活に適応しており、自立して行動できる水準に達していると見なされているためです。
家族帯同
特定技能1号では原則として家族の帯同は認められていませんが、一定の要件を満たせば配偶者や子どもの帯同が可能です。
一方、特定技能2号では特別な要件を設けず、最初から配偶者および子の帯同が認められています。
対象となる家族の範囲は、配偶者と子に限られており、これにより取得者は日本で家族と共に生活の安定を図ることができるのが大きな魅力です。
日本語の能力
1号では「日常会話程度(日本語能力試験N4以上)」が求められ、実際に日本語能力に関するテストの受験が必要となります。
一方で、2号においては日本語能力試験の受験は免除されますが、日常生活を不便なく過ごせるレベルの日本語力が求められます。
目安としては、日本語での会話内容の理解や、文章の読み書きができる程度の能力(N3相当)が必要とされ、現場での管理や指導をおこなう際にも十分な日本語の理解力が求められます。
特定技能2号のメリット
特定技能2号は、企業と外国人双方にとって多くの利点があります。ここでは、双方の立場からメリットを整理して解説します。
企業側のメリット
特定技能2号の導入によって、企業は在留期間に制限のない外国人労働者を長期的に雇用することが可能になります。これにより、慢性的な人材不足を抱える業界では、安定した労働力を確保する手段として大きな期待が寄せられています。
また、在留期間が無期限であるため、企業側は一度人材を育成すれば長期的な雇用が見込め、採用活動や教育・訓練にかかるコストの削減にもつながります。
さらに、特定技能2号の取得者は一定の経験と熟練したスキルを備えているため、即戦力としての活躍はもちろん、現場でのリーダー的役割も果たせる人材です。
特定技能1号と異なり企業による生活支援義務がない点も、受け入れにかかる事務負担を軽減する要因となり、こうした条件が組織全体の生産性向上と定着率アップにもつながっていきます。
外国人側のメリット
特定技能2号を取得することで、外国人にとっては大きな利点が得られます。まず、在留期間の上限がなく、長期間にわたって日本で安定的に働き続けることができるため、将来的には永住権の取得も視野に入れることが可能です。
また、家族の帯同が認められており、配偶者や子どもとともに日本での生活を送ることができる点も、生活の安定やモチベーションの向上につながります。
さらに、長期就労によって収入の安定が見込め、生活水準の向上にも貢献します。日本での経験やスキルが評価されやすくなることで、自身のキャリアアップを実現できる環境が整っており、将来的な職種の幅や待遇の改善も期待されます。

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特定技能2号の受け入れ可能な11分野
2025年現在、特定技能2号が認められているのは11分野です。設立された際は「建設」「造船」の2分野のみでしたが、2023年6月より9分野が追加され拡大されました。
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業
- 建築
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲料品製造業
- 外食業
特定技能2号取得の要件
特定技能2号を取得するための要件は大きく次の3つです。
- 該当する分野の特定技能2号の試験に合格していること
- 分野ごとに求められる機関の実務経験があること
- 日本語能力があること(一部の分野のみ)
特定技能2号を取得するためには、技能水準や就労実績など複数の条件を満たす必要があります。中でも重要なのが、分野ごとに実施される試験に合格することです。
これは、その外国人に業務を遂行するための能力や専門的な技術があることを証明する手段として位置づけられています。
試験の難易度は高めに設定されており、分野によっては一定年数の実務経験や、作業工程の管理・監督といった実績が求められる場合もあります。

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特定技能2号の試験について
特定技能2号の試験は、分野ごとに実施されており、それぞれの分野に応じた技能試験および学科試験で構成されています。試験の内容は業務に必要な知識や経験、技術を確認するもので、実技を伴うケースも少なくありません。
試験は所管省庁の監修のもとで実施され、試験形式はCBT(コンピュータ・ベースド・テスト)または紙での筆記試験となっており、どちらが採用されるかは分野によって異なります。また、受験料や合格証明書の発行費用も分野ごとに異なるため、受験前に確認が必要です。
試験は年に数回実施されており、申込み後に試験を受け、合格者には証明書が発行されます。この証明書をもって、特定技能2号の在留資格申請に進むことができます。なお、特定技能1号から2号への移行を希望する場合、すでに一定の技能実績が認められていれば、一部の試験が免除されることもあります。
特定技能2号への移行手続き
特定技能1号や技能実習から2号へ移行するには、決められた手続きがあります。流れと申請先を確認しておきましょう。
移行手続きの流れ
移行手続きの流れは次の通りです。
- 特定技能2号の要件を満たしているか確認
- 必要書類を準備・作成
- 出入国在留管理庁へ申請を提出
- 在留資格の審査を受ける
- 在留資格認定証明書を取得
なお、申請には多くの書類が必要であり、職種や個人の状況に応じて内容が異なります。最新の提出書類や手続きに関する詳細は、 出入国在留管理庁のサイトで確認するようにしましょう。
申請場所
申請は、申請人の居住地または受け入れ企業の所在地を管轄する地方出入国在留管理局でおこないます。原則として、本人が直接申請する必要がありますが、申請者が海外にいる場合などは、受け入れ企業の担当者などが代理人として手続きをおこなうことも可能です。
オンライン申請に対応している場合もあるので、管轄の入管に事前に確認しておくと安心です。

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まとめ
特定技能2号は、日本で長期的に働きたい外国人と、優秀な人材を確保したい企業をつなぐ制度です。
特定技能2号は、熟練した技能を持つ外国人に対して、日本で安定したキャリアを築く道を開く制度です。特定技能1号よりも在留や待遇の自由度が高く、企業にとっても人材定着を促す重要な仕組みとなっています。今後、対応分野の拡大が見込まれるため、企業は早期に受け入れ体制を整えることが重要です。
アイデムグローバルでは、特定技能外国人の採用から雇用後の支援までをワンストップでサポートしています。特定技能外国人の雇用を検討している企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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