日本で働く外国人のなかでも、ベトナム人は大きな存在感を示しています。厚生労働省の令和7年10月末時点の集計では、ベトナム人労働者は60万5,906人で国籍別トップです。

技能実習全体の人数も高水準で推移しており、今後は技能実習制度から育成就労制度への移行も控えています。

この記事では、ベトナム人技能実習生が増えてきた背景、日本が選ばれる理由、今後の制度動向、受け入れ時の実務ポイントまでわかりやすく解説します。

ベトナム人技能実習生がこの7年で増加傾向に

コロナ禍で一時的な入国制限の影響はあったものの、足元では外国人雇用も在留者数も回復が進んでいます。ベトナム人は日本の外国人労働者のなかで最多となっており、技能実習や特定技能の主要な送り出し国として、引き続き重要性が高い状況です。

2025年10月末時点で、日本で働く外国人労働者257万1,037人のうち、ベトナム人は60万5,906人で、外国人労働者全体の23.6%を占めています。

平成30年10月末時点のベトナム人労働者数は31万6,840人だったため、この7年間で28万9,066人(91.2%)増加したことになります。

ベトナム人技能実習生が増えた理由としては、次の2つが挙げられます。

  • 中国人技能実習生が減少した
  • ベトナムの平均賃金が日本よりも低い

増加の理由①中国人技能実習生が減少した

技能実習制度では、かつて中国が最大の送り出し国として大きな存在感を占めていました。しかし、中国の経済発展に伴って国内の雇用環境や賃金水準が上がり、日本で技能実習を希望する人は以前より減少していきました。

その結果、送り出し国の構図にも変化が生じ、日本企業の採用先にも影響を与えています。

こうした流れのなかで、2016年にはベトナムが主要な送り出し国となり、以降はベトナム人技能実習生の受け入れが本格的に拡大していきました。さらに、2017年に技能実習法が施行されたことで、対象職種の拡大や在留期間の延長が進み、より多くのベトナム人材を受け入れやすい環境が整いました。

加えて、ベトナムではDOLAB(ベトナム海外労働管理局)が、海外就労に関する制度運用や送り出し機関の管理に関わっており、こうした制度面の整備も受け入れ拡大を支える一因です。

日本との二国間の枠組みのもとで、特定技能ではベトナム政府の認定送り出し機関を通じた受け入れが求められており、技能実習でも認定送り出し機関の仕組みが整備されています。

ベトナム人技能実習生の増加は、ベトナム側の送り出し力だけでなく、中国人技能実習生の減少や制度整備が重なった結果といえます。

増加の理由②ベトナムの平均賃金が日本よりも低い

ベトナム人労働者が日本を目指す理由として、賃金差はやはり無視できません。日本での就労は、本人にとって収入面の魅力が大きく、家族への仕送りや将来の生活基盤づくりにもつながります。

ベトナム統計局の2024年調査では、ベトナムの1人当たり月間平均所得は542万ドン、約3万352円でした。

加えて、ベトナム政府は2026年1月1日から地域別最低賃金を月額平均7.2%引き上げることを正式決定しており、改定後の月額最低賃金は地域によって370万〜531万ドンとなっています。

それでも日本の賃金水準は多くの職種でこれを上回るため、ベトナム人材にとって日本就労の経済的メリットは引き続き大きいといえるでしょう。

参照:JETRO『2024年版ベトナム家計生活水準調査結果を公表、月間平均所得が3万円を超える』
JETRO『最低賃金は2026年1月に平均7.2%引き上げの正式決定』

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なぜベトナム人技能実習生に日本が選ばれるのか?

ベトナム人技能実習生が日本を目指す理由は、賃金だけではありません。日本への好意的なイメージや、日本語を学ぶ価値、日系企業で働くことへの期待など、複数の要素が重なって志望先として選ばれています。

親日感情を抱くベトナム人が多い

外務省のASEAN世論調査では、「あなたの国と日本は現在どのような関係にあると思いますか」という設問に対し、ベトナムでは96%が日本との関係を友好的に捉えています。

日本とベトナムは長年にわたり協力関係を築いており、ODAによる支援、日本企業の進出、人材交流の積み重ねが、日本への信頼を高めていると考えられます。

また、「あなたが、日本に対して抱いている全体的な印象はどれですか」という設問でも、97%が日本に好意的な印象を持つと回答しています。

日本文化の浸透に加え、日本で技術や知識を学びたいという意欲の強さも背景にあるとみられます。協調性や勤勉さを重んじる人材が多いことも、日本企業との親和性につながる要因の一つです。

日系企業への就職を目指している

技能実習や特定技能を経て、帰国後にベトナムの日系企業への就職を目指す人も少なくありません。

ベトナムの日系企業では、管理職やSE職などで一般企業の2〜3倍程度の収入が得られるケースもあり、日本で身につけた技能や日本語力を活かしてキャリアアップしたいと考える人材にとって有力な進路になっています。

JETRO『概況・基本統計』によると、ベトナムには2,094社の日系企業が進出しています。こうした就職先の多さも、日本での技能実習や就業経験を将来の日系企業就職につなげたいと考える理由の一つです。

単なる出稼ぎではなく、技能・語学・キャリアの獲得先として日本を選ぶ人材がいる点は、受け入れ企業にとって重要な視点といえるでしょう。

ベトナム人技能実習生は今後増えていく?

今後のベトナム人技能実習生の動向を考えるうえでは、ベトナム国内の変化を踏まえることが欠かせません。

近年のベトナムは経済成長が続き、賃金水準も上昇しているため、日本で技能実習を希望する人は以前より減少傾向にあるとみられます。日本で働く経済的な魅力は依然あるものの、かつてほど圧倒的な差ではなくなりつつあるのが実情です。

加えて、円安による送金額の目減りや渡航費用の負担、失踪問題に対する不安なども応募者数に影響しています。そのため、日本企業の間ではミャンマーなど他国からの人材受け入れにも注目が集まるようになりました。

ベトナム人材を引き続き確保するには、賃金や労働条件の明確化、日本語支援、生活支援など受け入れ環境を改善し、安心して働ける職場を整えることがこれまで以上に重要だといえるでしょう。

「育成就労制度」で長く活躍できる人材を確保するねらい

育成就労制度がつくられた背景には、技能実習制度が抱えていた課題があります。

技能実習制度は、本来は開発途上地域への技能移転を通じた国際貢献を目的とする制度でした。しかし、実際には日本の人手不足を補う役割も大きくなっており、制度の建前と運用実態にずれがあることが課題とされてきました。

こうした状況を踏まえ、制度の適正化と人材確保の両立を目指して、新たに創設されたのが育成就労制度です。

育成就労制度は2027年4月1日に施行される予定です。原則3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育成し、その後の特定技能への移行も見据えた制度とされています。

短期的な受け入れにとどまらず、外国人材を中長期的に育成・確保していく仕組みとして期待されており、ベトナム人材の受け入れでも、日本語教育や業務習熟、生活支援を継続して行うことが重要になります。

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ベトナム人技能実習生を受け入れる際のポイント

ベトナム人材の受け入れを成功させるには、採用人数だけを増やしても不十分です。現場定着や早期離職の防止まで含めて設計しなければ、制度活用がうまく回らないことがあります。

受け入れにあたっては、特に次のようなポイントを押さえておきましょう。

  • ベトナム人の気質やコミュニケーションの傾向を理解する
  • 日本人と同様の労働条件を遵守する
  • 支援体制を整える

ベトナム人の気質やコミュニケーションの傾向を理解する

ベトナム人材を受け入れる際は、国民性や職場で見られる特徴を理解しておくことが大切です。

一般的に、勤勉で責任感があり、細かな作業にも丁寧に取り組む人が多いため、製造業や品質管理など正確さが求められる仕事とも相性がよいといえます。また、家族を大切にする価値観が強く、仕事だけでなく生活面の安定も重視する傾向があります。

コミュニケーションでは、一方的に指示を出すのではなく、作業の目的や理由まで丁寧に伝えることが重要です。

あわせて、できている点をきちんと評価し、困りごとを早めに相談できる環境を整えることで、安心感が生まれやすくなります。

こうした日々の声かけやフォローが、ミスの防止だけでなく定着率の向上にもつながります。

日本人と同様の労働条件を遵守する

受け入れで最も重要なのは、法令を守ったうえで、労働条件をわかりやすく示すことです。賃金、労働時間、安全衛生、社会保険などを曖昧にすると、採用後の認識のずれやトラブルにつながりやすくなります。

技能実習や今後の育成就労では、最低賃金を守るのはもちろん、同一労働同一賃金の考え方を踏まえ、日本人と不合理な待遇差を設けないことが前提です。

加えて、労働条件通知書を多言語で用意する、給与や控除項目を事前に丁寧に説明する、社会保険制度の内容をわかりやすく案内するといった対応も欠かせません。

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関連記事▶︎外国人労働者の最低賃金は?注意したい点や平均賃金、税金との関係を解説

支援体制を整える

技能実習生が安心して働き続けるためには、仕事面だけでなく生活面まで含めた支援体制が欠かせません。

住居の確保や生活オリエンテーション、銀行口座や携帯契約のサポート、医療機関の利用支援など、来日後の生活を安定させる取り組みが定着率にも大きく関わります。

また、監理団体と連携しながら定期的に状況を確認することも重要です。あわせて、技能実習生同士が交流できる機会を設けることで孤立を防ぎやすくなり、職場への安心感にもつながります。

まとめ

ベトナム人技能実習生が日本で増えてきた背景には、中国人技能実習生の減少、日越間の賃金差、日本への高い信頼感、帰国後の日系企業就職を見据えたキャリア志向など、複数の要因があります。

一方で、近年はベトナム国内の経済成長や賃金上昇、円安、渡航費用の負担といった要素から、応募環境にも変化が生じています。

こうしたなかでベトナム人材を安定的に確保するには、技能実習から育成就労への制度変更も踏まえ、法令順守に加えて、文化理解、丁寧な労働条件の説明、生活支援まで含めた受け入れ体制の整備が欠かせません。

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ベトナム語を含む6ヵ国語での支援にも対応しており、2026年4月30日時点で特定技能の内定実績は4,600名以上あります。

採用支援だけでなく、技能実習から特定技能への切り替え支援にも対応しているため、ベトナム人材を含む外国人雇用を中長期の戦力化につなげたい企業は、ぜひお気軽にご相談ください。

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