日本の現場を支える外国人材の受け入れ制度のひとつである「特定技能」。
中でも近年注目を集めているのが「特定技能2号」です。2023年の制度拡大後、飲食料品製造業・外食業においても受け入れが始まり、いよいよ制度の本格運用フェーズに突入しました。

本記事では、特定技能2号の概要や移行要件、最新の試験動向についてわかりやすく解説します。

そもそも「特定技能2号」とは?

「特定技能2号」とは、一定の実務経験と専門性を備えた外国人材が、在留期限の更新や家族帯同が可能となる制度です。2023年の制度拡大を受け、対象分野も広がり、今後ますます活用が期待されています。

特定技能2号の現状(2025年2月時点)

法務省が公表した最新データによると、特定技能2号で在留している外国人の数は全分野で1,351名です。

注目したいのは、飲食料品製造業と外食業が急伸している点です。
これらの分野は、高度な実務経験や限定的な試験回数など、移行にあたってのハードルが比較的高いにもかかわらず、移行者が着実に増加しています。

出典:「出入国在留管理庁(ISA)」

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特定技能1号と2号の違い

特定技能制度には「1号」と「2号」の2種類があり、それぞれで在留資格の条件や支援制度などに大きな違いがあります。以下の図は、制度の概要を比較したものです。

ヘッダーラベル特定技能1号特定技能2号
在留資格 1年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間ごとの更新、
通算で上限5年まで
3年、1年又は6か月ごとの更新、
上限無し
技能水準 試験等で確認
(技能実習2号を良好に修了した外国人は試験等免除)
試験等で確認
日本語能力水準 生活や業務に必要な日本語能力(N4レベル)を試験等で確認
(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
試験等での確認は原則として不要
飲食料品製造業:不要
外食業:日本語能力試験(N3以上)
受け入れ見込み数(上限)ありなし
家族の帯同基本的に認めない 「家族滞在ビザ」の要件を満たせば可能(配偶者、子)
支援 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外

知っておくべき3つのポイント

  1. 在留期間と更新回数の違いに注意
    特定技能1号は「最長5年」までの在留で、更新も回数に制限があります。一方、2号は上限なしで在留可能であり、長期的な雇用が可能になります

  2. 家族帯同の可否が大きな差に
    1号では原則として家族の帯同は認められていませんが、2号では一定条件を満たせば配偶者・子の帯同が可能。企業にとっては、定着率向上にもつながる重要なポイントです。

  3. 支援計画が不要になる2号
    1号では支援機関による生活支援計画が必須ですが、2号では支援対象外。企業が直接サポートを行う前提となるため、事前準備が必要です。

2号移行には「実務経験」と「試験合格」が必須

飲食料品製造業・外食業いずれの分野でも「実務経験」と「試験合格」が必要となります。

実務経験:管理業務と指導業務の両方が必須

特定技能2号に移行するには、まず「十分な実務経験」が求められます。
飲食料品製造業・外食業ともに共通して、次の2つの業務に従事していたことが条件です。

  • 管理業務:作業工程の進捗管理や品質管理、安全衛生の指導など
  • 指導業務:後輩外国人材や日本人従業員に対する技術指導、作業方法の教育など

この実務経験は、客観的に証明できる書類(辞令・職務命令書など)の提出が必要です。
つまり、単に「やっていた」だけでなく、「企業から正式にその役割を担っていたこと」が明示されている必要があります。

例えば、「1号特定技能外国人を“工程を管理する者”として配置した際に、職務命令書などでその旨を明記し、業務を担わせる」といった形が該当します。

試験内容:学科・実技で問われる高度なスキル

もう一つの要件は、所定の試験に合格することです。
外食業分野では、さらに日本語能力試験(JLPT)N3以上の合格も必要になります。

日本語での読解力が大きな鍵を握っており、最近の傾向としてはテキストに載っていない応用問題も多く出題されています。

特にJLPT N4レベルの外国人材にとっては、6か月以上の準備期間が必要とされるなど、計画的な学習が不可欠です。

飲食料品製造業外食業
内容飲食料品製造業の工程管理者にとって必要な知識・技能を問う4科目において、外食業における作業の遂行に必要な判断力・知識・技能を問う
試験言語日本語
(漢字にルビなし)
日本語
(漢字にルビなし)
実施方法ペーパーテスト
三者択一・マークシート)
ペーパーテスト
三者択一・マークシート)
試験時間・科目 50問 200点(70分)
・学科試験:35問 125点
・実技試験:15問 75点
(判断・計画立案)
55問 250点(70分)
・学科試験:35問 120点
・実技試験:20問 130点
合格基準正答率65%以上
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試験内容と学習のポイント

今までの受験人数・合格率

「特定技能2号」の試験において、徐々に合格率が上昇してきているのが特徴です。実際の合格率と受験者数、そして現在の2号許可人数は以下の通りです。

試験実施時期合格率
飲食料品製造外食業
2024年6月51.9%47.3%
2024年10月55.8%60.3%
2025年1月57.3%56.9%
合格者累計1,838名780名
許可人数
(2025年2月時点)
310名197名

いずれの分野も、第一回試験から比較して合格率が上昇傾向にあり、学習支援や対策環境の整備が一定の成果を出していることがうかがえます。

しかし、ここで注目すべきは「許可人数」。つまり、「実際に2号の在留資格を取得し、就労している人数」です。試験に合格したものの、現在は申請中・調整中という外国人材が多く、制度の立ち上げ段階ならではの“タイムラグ”が生じています。

合格者数や傾向から、今後も2号の対象となる外国人材はさらに増加する見込みです。2号を見据えたキャリアパスを企業として提示できるかどうかが、今後の採用競争力に大きく関わってくるでしょう。

試験対策のポイント

特定技能2号の試験合格を目指す上で、実務経験の証明だけでなく、「学科・実技試験」の突破が必要です。しかし、実際の現場では、以下のような課題に直面するケースが多く見られます。

よくある課題

  • 受験回数が限られている(年3回)
    チャンスが限られているため、一度の不合格が大きなタイムロスにつながります。
  • 勉強時間の確保が難し
    現場業務と並行して勉強時間を確保するのは簡単ではありません。
  • 専門的な内容のため、独学では限界がある
    特定技能2号の試験は、日本語の読解力と専門知識の両方が求められ、ひとりでの対策には壁があります。

効果的な対策ポイント

そこで、企業として外国人材を支援するためには、次のような取り組みが有効です。

  • できるだけ早く実務経験を開始し、受験資格を早めに得て、受験チャンスを増やす
  • 勤務時間の調整や残業軽減など、学習のための時間確保に協力する
  • 過去問や模擬テストを繰り返し活用し、出題傾向に慣れさせる

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  • 特定技能2号の制度概要と企業が押さえるべきポイント
  • 「実務経験」や「試験合格」など、2号移行に必要な要件の具体的解説
  • 実際に出題された問題例から見る、最新の試験傾向と対策のポイント
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まとめ

特定技能2号の導入は、企業にとって単なる延長雇用ではなく、リーダー候補を育成する戦略的な一手となります。
試験対策と実務経験の管理を計画的に進めることで、企業と外国人材の双方にとってよりよい未来が開けるはずです。

今後も続く人手不足の中で、外国人材の力を最大限に活かすための備えを始めていきましょう。

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