在留資格「定住者」とは?永住者との違いや要件、就労制限について解説

外国人が日本で中長期的に生活するうえで重要な在留資格のひとつが「定住者」です。しかし「永住者」との違いがわかりにくく、就労や滞在の条件について誤解されがちです。

この記事では、「定住者」とは何か、永住者との違いや取得要件、注意点などをわかりやすく解説します。

在留資格「定住者」とは

在留資格「定住者」とは、日本に在留する外国人のうち、法務大臣によって特別に在留を認められた人に対して与えられる在留資格です。法務省告示で定められた対象や、個別の事情によって「告示外」として認められる場合もあります。

在留期間

定住者の在留期間は、1年、3年、5年、6月、または法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)と定められています。永住者のように無期限ではなく、定められた期間が満了する前に更新手続きが必要です。

更新申請は、在留期間の満了する3ヵ月前から可能となっており、余裕を持った手続きが求められます。うっかり更新を忘れると不法滞在となってしまうおそれがあるため、在留カードの満了日をしっかり確認し、早めに準備を始めることが大切です。

定住者かどうかは在留カードで確認可能

定住者かどうかは、本人の在留カードを確認することで分かります。”在留資格”欄に「定住者」と記載されていれば、その資格で日本に滞在していることが確認できます。

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「定住者」と「永住者」は異なるので注意

多くの方が混同しやすい「定住者」と「永住者」ですが、異なる在留資格であるため注意しましょう。

項目定住者永住者
在留期間有期(1〜5年)無期限
就労制限原則なし(職種問わず)完全に自由
更新の必要ありなし
要件個別の事情で法務大臣が許可一定年数の滞在、収入・素行など厳格な審査

なお、定住者から永住者への変更を希望する場合には、一般的に以下のような条件を満たす必要があります。

  • 原則として10年以上(うち5年以上は就労資格)の在留歴があること
  • 安定した収入と納税実績があること
  • 素行が善良であること(違反歴がないこと)

これらの要件を満たしていれば、定住者から永住者への変更許可申請をおこなうことが可能です。ただし、審査は厳格で、書類不備や条件不達成により不許可となることもありますので、専門家の支援を受けることも検討しましょう。

「定住者」の要件について

定住者は、大きく「告示定住者」と「告示外定住者」に分けることができます。それぞれについて以下で詳しく見ていきましょう。

告示定住者

法務省告示に定められた定住者とは、法令で明文化された一定の事情を持つ外国人に対し、特別に在留が認められるケースを指します。

日系人の告示定住者

いわゆる「日系◯世」に該当する方が定住者資格で来日・滞在するケースが多く、

  • 日系2世、3世(主にブラジル・ペルー出身者)
  • 家族として帯同する子どもや配偶者

が含まれます。

これらの方々は、戦後の移民政策により日本を離れた祖先を持ち、日本での就労や生活基盤の再構築を目的として来日します。特に1990年の出入国管理法改正により、日系人が定住者として日本での在留が可能になり、以降は南米を中心とした日系人の来日が急増しました。

現在も、日系定住者は日本国内での労働力不足を補う重要な存在とされており、製造業や介護業など幅広い分野で就労しています。また、子どもたちが日本の教育制度に適応できるよう、日本語教育支援や地域との交流活動もおこなわれています。

定住者資格を取得するには、通常、親のいずれかが日本国籍を有していた(もしくはかつて有していた)ことなどが必要とされますが、詳細は個別の審査によります。したがって、出自の証明や扶養関係の確認など、提出書類の準備にも注意が必要です。

その他の告示定住者

その他にも、告示定住者として定められている具体的な例があります。たとえば以下のようなケースが該当します。

  • 第三国での難民キャンプなどから受け入れられた「第三国定住難民」(定住者告示1号)
  • 日本人、永住者または定住者の6歳未満の養子(定住者告示7号)
  • 中国残留邦人およびその家族で、日本への定住が認められた者(定住者告示8号)

これらの定住者は、日本と歴史的・人道的な関わりを持ち、特定の社会的配慮をもとに在留が許可されている点が特徴です。従って、単なる就労目的ではなく、生活の安定や社会との融合を前提とした在留資格として扱われます。

告示外定住者

法務大臣が個別の事情を考慮し、「告示」に該当しないケースでも特別に許可を与える場合があり、これを”告示外定住者”と呼びます。

  • 長期間の日本在住歴
  • 日本での扶養者の存在

などが認められた場合に該当します。

難民

難民として日本での在留が認められた場合、その後の在留資格として「定住者」への移行が認められるケースがあります。これは、難民認定後も引き続き日本での生活を希望し、安定した居住環境を築いていることが前提です。

たとえば、第三国定住制度を通じて日本に受け入れられた難民(定住者告示1号)には、あらかじめ「定住者」の資格が付与されます。また、自ら保護を求めて来日し、難民として認められた人も、その後「定住者」へ資格変更されることがよくあります。

ただし、難民認定後の定住者資格への変更については、申請内容の整合性や生活状況の安定性などが判断材料となり、行政の裁量が大きく関わります。支援団体のフォローや法的サポートを受けながら、適切な在留資格を維持することが重要です。

離婚や死別

日本人や永住者との結婚によって「配偶者等」ビザを得た方が、離婚・死別した場合に、定住者へと在留資格を変更することがあります。

この場合、定住者として認められるには以下のような条件を満たしていることが求められます。

  • 一定期間の日本での生活実績(目安として3年以上が望ましいとされる)
  • 離婚・死別後も日本で安定した生活を継続していること
  • 就労しており、経済的に自立していること
  • 日本に扶養すべき子どもがいる場合には、育児環境の継続性

また、婚姻期間が3年未満であっても、配偶者との間に生まれた子を長期間にわたって養育している場合や、形式上は離婚に至っていなくても夫婦関係が既に破綻し、配偶者からの暴力などといった深刻な事情がある場合には、例外的に定住者としての在留が認められることもあります。

このようなケースでは、家庭裁判所の記録や児童相談所の意見書、警察の相談記録など、状況を証明できる書類の提出が求められるため、慎重な準備が必要です。

義務教育を受けて高校を卒業した家族滞在者

子どもが日本で義務教育を受け、高校卒業まで滞在した場合、その後の進学や就職に備えて定住者資格が付与されることがあります。

これは、日本で長期間生活し、教育を受けたことにより社会的に十分に適応していると判断されるためです。また、進学希望者にとっては安定した在留資格の確保が重要であり、定住者資格を取得することで進学・就職活動が円滑に行えるようになります。

なお、申請にあたっては、学校の在籍証明書や卒業証明書、生活状況の資料(保護者の在留資格・収入状況など)も求められるため、準備をしっかりおこなうことが大切です。

「定住者」の就労条件に制限はある?

定住者は、就労活動において職種の制限がありません。つまり、「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格と異なり、

  • 飲食店
  • 製造業
  • 介護

など、幅広い職種で働くことが可能です。実際、多くの定住者が製造業やサービス業、介護業界などで活躍しており、企業にとっても即戦力となる人材として期待されています。特に地方の中小企業では、定住者の雇用によって人材不足の緩和につながっているという声も少なくありません。

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「定住者」の要件を満たせなくなる場合に注意

定住者資格を得た後でも、条件を満たせなくなると在留資格が更新できない、あるいは取り消される可能性があります。

身分的要件

これまでの在留資格の根拠となっていた家族関係が消滅した場合、資格の更新が困難になることがあります。たとえば日本人の配偶者と離婚した後、扶養すべき子どもがいない、または経済的・社会的な基盤が不安定である場合などが該当します。

独立生計要件

定住者として在留を継続するためには、自力で生計を立てていることが重要です。具体的には、安定した収入があり、日常生活を経済的に支えていること、税金や社会保険料をきちんと納めていることなどが確認されます。

たとえば、無職の状態が長期にわたって続いていたり、収入が極端に少ない場合には、「独立して生活しているとは言えない」と判断される可能性があります。また、親族からの仕送りに依存している場合や、扶養者がいなくなった場合なども同様です。

さらに、納税義務を怠っていたり、市区町村から生活保護などの公的支援を受けている場合も、独立生計要件を満たさないと判断されることがあります。更新審査では収入証明書や課税証明書の提出が求められるため、日頃から適切な手続きを行っておくことが大切です。

素行要件

素行要件とは、日本での生活における行動や社会的態度が適切であるかを判断する基準です。法令を遵守しているか、公序良俗に反する行為がないかなどが審査対象となります。

つまり、重大な違反(刑罰、交通違反の累積など)がある場合、在留資格の取り消しや更新拒否のリスクがあります。

まとめ

在留資格「定住者」は、外国人にとって日本で生活・就労を継続するための大切な制度であり、企業側にとっても安定的な人材確保につながる大きなメリットがあります。特に職種の制限がないという点で、即戦力として幅広い業種で活躍が期待できる在留資格です。

ただし、定住者は永住者と異なり、在留期間の更新が必要であり、身分・生計・素行など複数の要件を満たし続ける必要があります。

定住者を雇用する際は、制度の正しい理解と継続的なフォローが、安定的な雇用関係の構築に不可欠です。外国人材の受け入れに関するサポート体制を整えておくことで、企業側・従業員側の双方にとって安心できる環境づくりが可能になります。

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