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人手不足が深刻化するなか、特定技能制度を活用した外国人材の受け入れを検討する企業も増えています。しかし、その複雑な手続きやルールにより、受け入れをためらう企業も少なくありません。
特定技能外国人の住居や家賃に関しても、厳格なルールが存在します。
この記事では、住居タイプ別の費用負担、「家賃3万円の壁」といわれる採用競争力への影響、給与天引きの法的注意点まで、実務に直結する情報をわかりやすく解説します。
特定技能外国人の家賃は「実費のみ本人から徴収」が一般的
特定技能外国人の住居費については、「実費の原則」と呼ばれる考え方が基本となっています。これは、受け入れ企業が外国人本人から徴収できる家賃を、実際にかかった費用のみに限定するという考えです。
実費の原則に基づき、外国人材から管理費・事務手数料・更新料などの名目で費用を上乗せして徴収することは認められていません。
たとえ書面上の合意があったとしても、実費を超えた控除は労働基準法違反となるリスクがあります。
また、家賃の上限や初期費用負担に関する厳格なルールも定められています。
これらついては、後続のセクションで詳しく解説します。

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【タイプ別】特定技能外国人の家賃設定と費用負担の厳格なルール
特定技能外国人の住居確保には、大きく3つの方法があります。それぞれ、本人が負担できる家賃の上限と、企業が負うべき初期費用の範囲が異なります。
まずは、以下の比較表をご覧ください。
| 住居タイプ | 本人の家賃負担(月額費用) | 企業の初期費用負担 |
| 賃貸アパート(法人契約) | 賃料(管理費・共益費などを含む) ÷ 入居人数が上限 | 敷金、礼金、仲介手数料などの初期費用を全額負担 |
| 企業寮・社宅 | 合理的に説明可能な適正額 | 建設・改修費用を負担 |
| 本人契約 | 全額負担 | 任意で補助 |
賃貸アパート(法人契約)の場合
企業が法人として賃貸契約を結び、外国人材を入居させる最も一般的な方法です。
本人から徴収できる家賃の上限は「月額賃料÷入居人数」が原則です。賃料には、管理費・共益費も含まれます。
例えば、月額6万円のアパートに2名が住む場合、1人あたりの上限は3万円となります。
敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用は、企業が全額負担します。
企業寮・社宅の場合
企業が所有・管理する社宅や寮を提供する場合、本人から徴収できる家賃は「合理的に説明できる適正額」とされています。
法務省による「徴収費用の説明書」などをもとに、適切な金額を設定することが求められます。
建設費や改修費など、施設整備にかかる費用は企業負担となります。
一方で光熱費や食費などは、内訳を明示して本人の同意を得ることで徴収が可能です。
本人契約の場合
外国人材自身が賃貸契約を結ぶ方法です。
この場合、家賃は全額本人負担となり、企業に徴収や負担の義務はありません。
ただし、外国人が日本で賃貸契約を結ぶ際には保証人問題や言語の壁が生じやすいため、企業側が情報提供・仲介支援などのサポートをおこなうことが支援計画上求められます。
企業が家賃補助を任意で実施することも可能であり、採用競争力の向上という観点から、補助制度を設けている企業も増えています。
【補足】ベトナム人技能実習生の家賃上限
ベトナム人の技能実習生を受け入れる場合は、日本国内のルールに加えて、ベトナム国内法による制限にも注意が必要です。
ベトナムの法規定では、「家賃は月給(基本給)の15%まで」という上限が定められています。
この制限は日本の受け入れ企業にも適用されるため、ベトナム人材の採用を検討している場合は必ず事前に確認しておきましょう。
参照:ベトナム・新労働者海外派遣法及び関連政省令等の概要|JITCO
採用の成否を分ける「家賃3万円の壁」と可処分所得
特定技能外国人の家賃において見過ごせないのが、「家賃3万円の壁」です。
特定技能における「家賃3万円」という心理的ライン
特定技能外国人の採用活動において、「本人負担の家賃が月3万円以内かどうか」は求職者の応募判断に大きく影響します。
特定技能外国人の多くは、母国の家族への送金を前提としています。
そのため、固定費のなかでも特に家賃への感度は非常に高く、3万円を超えると「この会社では手元に残らない」と判断して応募を見送るケースもあります。
この3万円という金額はあくまで心理的なラインであり、法的な規制ではないという点に注意が必要です。
しかし、実際の採用競争において求職者が企業を比較する際の重要な判断基準であり、無視できないポイントといえるでしょう。
総住居コストと福利厚生としての社宅
外国人の採用活動においては、単に家賃を安く設定すればよいわけではありません。
応募者は総住居コスト、つまり家賃・水道光熱費・Wi-Fi代・家具家電の有無などを含めたトータルコストで企業の魅力を評価しています。
例えば、家賃が3万5千円であっても、Wi-Fiや水道光熱費込み・家具家電完備であれば、別途これらを自己負担するケースよりも総コストは低くなり、外国人材にとって魅力的な住居環境といえるでしょう。
また、社宅や寮を提供することで外国人材の可処分所得が増え、企業の競争力が高まります。
母国への送金可能額が増えることは、特定技能外国人にとって非常に重要な評価ポイントです。
採用力を高めたい企業にとって、住居費用に関する整備は有力な施策といえます。

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家賃の給与天引き(賃金控除)における法的注意点
家賃や光熱費を給与から天引きする場合、労働基準法第24条に基づく「賃金全額払いの原則」に注意が必要です。
賃金から控除をおこなうためには、労使協定(24条協定)を締結することが前提となります。
特定技能外国人に対しては、母国語での書面による同意取得が推奨されます。
日本語のみの説明では「理解していなかった」「同意した覚えがない」とのトラブルに発展するリスクがあるためです。
家賃など住居費用の給与天引きに関する手続きは、次のとおりです。
- 労使協定(24条協定)を会社と従業員代表との間で締結する
- 控除の内容・金額・根拠を本人に書面(母国語)で説明し、署名を得る
- 控除できるのは実費相当額のみ。実費を超えた控除は違法となる
- 光熱費・Wi-Fi代なども家賃と同様に、実費相当額であれば控除可能
これらの手続きを適切におこなうことで、後のトラブルを予防できます。
手続きに不安がある場合は、専門家や支援機関に相談することをおすすめします。
特定技能外国人の住居に関するQ&A
最後に、特定技能外国人の住居に関するQ&Aをご紹介します。
特定技能外国人の住居に関するルールは何ですか?
特定技能1号では、受け入れ企業による住居確保支援の義務が「1号特定技能外国人支援計画」のなかで定められています。
単に家を紹介するだけでなく、以下の基準を満たす必要があります。
- 居室面積は1人あたり7.5㎡以上(プライバシーが確保できる個室が望ましい)
- 家賃の徴収は実費のみ(管理費・事務手数料などの上乗せ禁止)
- 初期費用(敷金・礼金・仲介手数料)は法人契約の場合、企業が全額負担
- ベトナム人は基本給の15%以内という上限規定に注意
支援計画を満たさない場合、企業に対するペナルティーや外国人の在留資格取消しなどのリスクがあります。
家賃を全額会社負担にすることは義務ですか?
義務ではありません。支援計画上は「住居確保の支援」が求められますが、家賃を全額負担しなければならないという規定はありません。
企業は適切なルールに基づき、本人から実費相当額を徴収することができます。ただし、採用競争力の観点から、家賃補助や社宅の提供をおこなう企業が増えているのも事実です。
光熱費も天引きできますか?
可能です。光熱費やWi-Fi使用料なども、家賃と同様に労使協定の締結と本人の書面同意があれば給与から控除できます。ただし、控除できるのは実費相当額に限られており、それを超える金額の徴収は認められません。

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まとめ
特定技能外国人の家賃に関するルールは、実費原則・住居タイプ別の上限・初期費用負担・給与天引きの手続きと、多岐にわたります。
これらを正しく理解し、適切に運用することが、トラブル防止と優秀な人材の定着につながります。
また、「家賃3万円の壁」に代表されるように、住居環境の整備は採用競争力に直結する重要な要素です。社宅・寮の提供や総住居コストの可視化など、求職者目線での施策が採用成功のカギを握っています。
アイデムグローバルでは、特定技能外国人の採用において避けては通れない住居確保をはじめ、出入国在留管理庁への書類提出、生活ガイダンス、入社後のフォローなど、各種手続きをトータルでサポートいたします。
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