特定技能1号で採用した外国人材が、数ヶ月から1年足らずで退職してしまう
――そんな経験はありませんか?

制度上は在留資格が5年まで認められており、企業側も「長く働いてほしい」という期待を抱いているはずです。
しかし、実際には「思ったより続かない」「2号試験に進む前に辞めてしまう」といった声が後を絶ちません。

なぜ、制度通りに“定着”してくれないのか。

その理由は、「就労開始前後の支援のズレ」と「長期的な育成視点の欠如」にあります。

本記事では、外国人材が継続的に働き続けるために必要な支援や、企業が取り組むべき定着施策のポイントを解説します。

外国人労働者の定着率と離職率の現状

人手不足の解消策として注目されている「特定技能」制度。
しかし、雇用した外国人材が職場に定着せず、早期離職してしまうケースが増加しており、現場では“新たな課題”として浮上しています。

企業がせっかく採用し、業務教育を行っても、1年未満で辞めてしまっては人材育成の投資が無駄になり、現場の負担も大きくなります。

「採用した後、いかに長く働き続けてもらうか」は、特定技能制度を活用する上で最重要テーマの一つです。

特定技能外国人の離職状況

政府が公表したデータによると、制度開始から令和4年11月末までに特定技能1号として在留した外国人は12万3,146人。そのうち自己都合による離職者は1万9,899人(約16.1%)にのぼります。(出典:法務省資料) 

これは「転職を含む離職」の一部にすぎず、例えば契約期間満了や企業都合による離職などは含まれていないため、実態としてはさらに多くの人材が職場を離れている可能性があります。

特定技能外国人の定着率

裏を返せば、全体の約8割(83.9%)は離職せずに就労を継続しているという点も見逃せません。

一定の定着傾向は確認できるものの、制度上の「在留資格期間の更新」によって形式的に継続されているケースもあり、実態としての“本当の定着”とはズレがある場合もあります。

たとえば…

  • 異動や職場変更を繰り返している
  • モチベーションが低下し、戦力化されていない
  • 試験やスキルアップの支援がなくキャリアに不安を抱えている

一見すると“定着”しているように見えても、実際には上記のような課題を抱えたまま働き続けているケースが少なくありません。

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なぜ辞めてしまうのか?外国人材が“定着しない”主な理由

ここでは、外国人材の定着率がアップしづらい理由を4つ紹介します。

1.受け入れ企業のサポートが不足している

制度としての雇用は整っていても、受け入れ体制や継続的なサポートが不十分なケースがあります。

たとえば、生活面の初期支援(生活オリエンテーションや住居の手配)は済んでいても、その後の日本語学習支援や2号試験へのキャリア支援が手つかずという企業も少なくありません。

また、現場任せ・個人任せになってしまっていると、外国人材側は「放置されている」「成長の支援がない」と感じ、職場に将来性を見出せずに離職へとつながってしまいます。

2.実際の仕事内容や生活環境とのギャップ

面接時に聞いていた条件と、実際の職場や生活環境にギャップがあると、不信感や不満が蓄積されます。

たとえば

  • 残業が少ないと聞いていたのに実際は多い
  • 寮の設備が思っていたより不便だった
  • 休日が少なく家族との時間が取れない


生活基盤に直結する問題のため、早期離職につながりやすい傾向があります。

3.悩みや不満を相談できる相手がいない

言葉の壁や上下関係の遠さから、日常的な悩みを気軽に相談できる人がいないという声もよく聞かれます。

「誰に話せばよいかわからない」「相談しても対応してもらえないかもしれない」と感じたまま、不安や不満を抱え続けることになります。

その結果、表面的には問題が見えなくても、ある日突然「もう限界です」と退職に至るケースも少なくありません。

4.人間関係や職場の雰囲気になじめない

日本人同士の会話のスピードや空気感、曖昧なコミュニケーション文化に馴染めず、「孤立している」「話しかけづらい」と感じてしまうことがあります。

また、文化の違いによるすれ違いや、無意識の差別的発言などによって、精神的に傷ついてしまうケースも。

表面的にはうまくやっているように見えても、心の中では「このままここにいてもつらい」と感じてしまい、離職を選ぶことがあります

定着率アップのために企業ができる5つの工夫

外国人材の定着を成功させるには、「採用して終わり」ではなく、継続的な支援とキャリア視点を持った育成が必要です。

特定技能制度においては、企業側のサポート体制が定着率に直結します。ここでは、すぐに取り組める4つの工夫をご紹介します。

1.明確な評価基準を設ける

外国人労働者の中には、「自分の頑張りが正しく評価されているのか分からない」と不安を抱える方が少なくありません。日本企業においても評価制度が曖昧だと、成長実感を得られず、離職の一因となります。

だからこそ、スキルや勤務態度に応じた明確な評価基準を設定することが重要です。

外国人にも理解しやすい言語での説明や、定期的なフィードバック面談を取り入れることで、「ここで働き続けたい」という安心感とモチベーションを育むことができます。

2.多文化共生の職場づくり

国籍や文化の違いによる孤立感は、外国人労働者にとって大きなストレス要因です。職場における日常的な交流や理解不足が、トラブルや離職を招くことも。

共生の第一歩は、全社員への異文化理解の促進です。

たとえば、簡単な文化研修の実施、母国の祝日や習慣への配慮、ピクトグラムの活用などが挙げられます。

外国人側だけでなく、日本人社員も歩み寄る姿勢を持つことで、職場全体に信頼と協力の空気が生まれます。

3.キャリアパスの提示と特定技能2号への道筋の可視化

「今の仕事を続けて、この先どうなるのか分からない」と感じている外国人労働者は多くいます。定着には、将来のビジョンを持たせることが不可欠です。

特定技能2号の試験制度や要件についての周知、先輩社員の事例紹介、受験に向けたサポート体制の整備などを行うことで、「この職場でステップアップできる」という希望を持ってもらえます。

成長の道筋が見えることで、働き続ける意欲にもつながります。

4.登録支援機関の積極活用

登録支援機関とは、特定技能外国人の生活・労働支援を専門的に行う外部機関です。法令で定められた「支援計画」の作成・実施を代行し、企業と外国人の両方をサポートします。
たとえば、以下のような支援を提供しています

  • 生活オリエンテーション(交通機関や病院の使い方など)
  • 行政手続き(住民登録、年金、保険加入など)の補助
  • 母国語での相談対応
  • 日本語学習の支援
  • 2号試験に向けた情報提供

これらの支援を企業単独で行うのは難しいため、登録支援機関を上手に活用することで、負担を軽減しながら質の高い定着支援が可能になります。

5.日本語学習の継続的なサポート

業務上必要な日本語力が不足していると、コミュニケーションエラーや精神的ストレスを招きやすくなります。日本語力は一朝一夕で身につくものではないため、長期的な視点での学習環境づくりが必要です。
たとえば、以下のような取り組みが効果的です。

  • 業務内で使用する専門用語のリストアップと習得支援
  • eラーニングやスマホアプリによる学習機会の提供
  • 学習状況に応じた簡単なテストの実施
  • 勤務時間外に無理なく学べる制度設計

言葉の壁を乗り越えることで、本人の自信と職場の信頼が深まり、定着にもつながります

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まとめ

特定技能人材の定着には、「採用して終わり」ではなく、継続的な支援と育成が重要です。
職場に馴染めずに辞めてしまう背景には、評価制度の不透明さや、将来が見えない不安、言葉の壁など、様々な要因が存在します。

企業が長く働ける環境を整えることで、外国人材は安心して成長し、戦力として活躍してくれます。

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