技能実習生の受け入れを検討しているものの、トラブルが起こりやすいと聞いて不安を感じる企業様もいるのではないでしょうか。

技能実習生のトラブルは本人の性格の問題ではなく、環境によるものがほとんどです。

今回は、技能実習生のトラブル事例とその原因、企業ができる予防策をご紹介します。

技能実習生によくあるトラブル事例

技能実習生のトラブルのなかでも、雇用条件に関するトラブル、借金、失踪は特に問題視されています。それぞれのトラブルを、事例を挙げてご紹介します。

雇用条件や労働環境に関するトラブル

事例1:低賃金や長時間労働など違法事例
「日本で働けば豊かになれる」と期待して来日した技能実習生。しかし、実際は給料に不明な天引き項目が多く、手取りがかなり少なかった。また、連日の残業や休日出勤も続いており、疲労がたまり、体調不良による欠勤が続くようになった。
事例2:雇用条件が十分に伝わっていなかった
技能実習生が勤務内容や給料に対して「聞いていた話と違う」と強い不満を抱くようになった。雇用契約書を確認し、サインをしていたものの、母国語での資料や説明がなかった。その結果、残業が発生することや、社会保険料の天引きにより手取りが少なくなることを十分に理解できず、雇用条件について会社と行き違いがあった。

最低賃金を下回る給料や長時間労働など、技能実習生が不当な労働を強いられるケースがあります。

また違法事例でなくても、雇用条件が十分に伝わらず、技能実習生が勤務内容や給料に対して不満を抱くケースも少なくありません。

来日前の借金

事例3:来日前に多額な借金を抱え、追い詰められてしまう
技能実習生は来日にあたり、送り出し機関への手数料や日本語講習費、ビザ関連費用などを借金により工面していた。来日後、賃金が想定より少なく、毎月の返済額を差し引くと生活費はほとんど残らなかった。借金の返済が滞ると家族に迷惑がかかるというプレッシャーから、労働環境が悪くても働き続けるしかなかった。

送り出し機関へ支払う手数料などで、来日前に多額の借金を抱える技能実習生も多いです。

借金返済のため、労働環境が悪くても簡単に離職や帰国できないことが問題視されています。最悪の場合、失踪や犯罪などにつながるおそれもあります。

失踪

事例4:経済的な事情から失踪へ
技能実習生が朝の点呼に現れず、失踪した。警察の調査によって、県外の外国人コミュニティと合流していたことが判明。調べによると、実習先の給料が安く、借金の返済のため仕事をやめられず困っていたところ、外部の知人から「もっとよい仕事がある」と誘われたとのこと。

失踪の主な原因に、劣悪な労働環境や、前述の借金返済のため簡単に離職できないという経済的な事情があります。

これを受け、来日前のミスマッチを減らす、来日前の費用負担を軽減するなど出入国在留管理庁による対策が講じられました。その結果、出入国在留管理庁によると、令和6年の技能実習生の失踪者は6,510人と、前年比で33.3%減少しています。

参考:技能実習生の失踪者数の推移|出入国在留管理庁

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その他のトラブル事例

その他、技能実習生のトラブルとして以下のものがあります。

生活におけるトラブル

事例5:言語の壁や文化の違いによる近隣住民とのトラブル
技能実習生がアパートのゴミ出しルールを理解できず、誤った方法でゴミを出してしまった。アパートの管理人が直接注意したものの、内容を理解できず改善されなかった。次第に、近隣住民から苦情を言われるようになり、関係が悪化していった。
事例6:技能実習生同士のトラブル
技能実習生が会社の寮で共同生活をしていた。そのうちの1人が、母国との時差の関係で深夜に家族とたびたび電話で話していた。他の実習生の部屋にも声が響き、「うるさくて眠れない」と騒音トラブルに発展した。

技能実習生の日本語レベルが十分でない場合や、ゴミ出しや交通ルールなどの生活ルールを知らない場合は、地域住民とのトラブルに発展する例があります。

また、技能実習生同士、特に共同生活をしている場合にもトラブルが起こりえます。

仕事でのトラブル

事例7:報連相不足が大きな損失に
工場で働く技能実習生は、機械の異音に気付いたものの、「このくらいなら言わなくても大丈夫」と自己判断し、誰にも言わず作業を続けていた。数時間後に機械が停止し、復旧のためにラインが半日ストップしてしまった。日本特有の「報連相」文化を知らなかったために起こったと考えられる。
事例8:人前での叱責がきっかけで勤務態度が悪化
技能実習生が、他の従業員の前で上司にミスを叱責された。母国では人前での叱責は強い屈辱と受け取られる文化があるため、「恥をかかされた」「人格を否定された」と憤りを感じた。その結果、わからないことがあっても質問せず、ミスがあっても隠すようになり、大きな業務トラブルに発展した。

日本では当たり前の文化でも、外国人技能実習生には馴染みがない、または理解できず、母国とのカルチャーギャップにより仕事に支障が出ることがあります。

金銭や犯罪に関するトラブル

事例9:実習生同士の金銭トラブル
技能実習生が同僚の実習生から3万円を借り、「給料日には返す」と口約束をした。実際には給料日を過ぎても返済されず、貸した側の実習生が職場に相談した。職場の担当者から返済するようたびたび伝えても、「家族の事情で今は返せない」などと言い訳を繰り返し、最終的に監理団体が介入した。
事例10:借金返済のための犯罪行為
来日前に多額の借金を抱えていた技能実習生は、給料の大半を返済にあてていて、生活が苦しかった。同国の知人から「日本の商品は母国で高く売れる」と聞き、店舗で万引きし、転売する犯罪行為に手を染めてしまった。

来日前の借金による生活苦から、金銭の貸し借りや、最悪の場合犯罪にまで発展してしまうケースもあります。

技能実習生が失踪してしまったら?

技能実習生の失踪は、件数が減少しているとはいえ依然として問題視されているトラブルの1つです。

ここでは、技能実習生が失踪してしまった場合の対処法を説明します。

1.所在を把握する

技能実習生の失踪が疑われたら、同僚への聞きこみや本人のSNSなどを手がかりに、所在確認に努めます。また、本国の緊急連絡先にも連絡し、本人からの連絡がないか確認してください。

2.関連機関へ連絡する

監理団体へ連絡し、実習生が失踪したことをすみやかに伝えます。企業単独型の場合は、2週間以内に外国人技能実習機構へ技能実習実施困難時届出書を提出します。

3.本人の希望に合わせて適切な措置をする

所在を確認できたら本人の希望を聞き、帰国措置あるいは復職の支援を実施します。

4.再発防止に努める

失踪の原因を把握し、再発防止策を講じます。実習生の労働環境を見直す、コミュニケーションは適切だったかを確認するなど、監理団体と協力して適切な措置をおこないましょう。

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企業ができる技能実習生のトラブル防止策

今回ご紹介したトラブル事例の多くは、企業の対策によって防げるものばかりです。

最後に、企業ができる技能実習生のトラブル防止策を解説します。

適切な監理団体を選ぶ

技能実習生の来日前の借金は、大きなトラブルを引き起こす原因となりえます。

送り出し機関のなかには、高額な手数料を請求するところもあり、技能実習生が多額の借金を抱える原因の1つとなっています。

技能実習生が来日前に過剰な費用を負担しないよう、適切な送り出し機関と契約している信頼できる監理団体を選びましょう。

監理団体の選び方の詳細は、以下の記事でご確認ください。

▶︎関連記事:技能実習生と監理団体の仕組みを解説|外国人採用を成功に導くためのポイント

雇用条件をしっかり説明する

ミスマッチを防ぐため、業務内容や給与について十分に説明し、技能実習生にしっかり納得してもらいましょう。必要に応じて、通訳をつけて説明をおこないます。

特に給料のミスマッチはトラブルの元となるため、控除項目についてしっかり説明し、手取りがいくらになるのかを正確に伝えます。

技能実習生が働きやすい環境を整備する

いうまでもなく、賃金や労働時間に関する法令を遵守しましょう。賃金は最低賃金以上かつ日本人従業員と同等以上に設定し、残業や休日出勤が発生した場合は必ず手当をつけます。

また、技能実習生向けの相談窓口を設け、困ったことがあれば母国語で相談できる環境を用意することも大切です。

言語や生活のサポートをおこなう

技能実習生の日本語が上達すれば、コミュニケーションも円滑になります。社内で日本語講座を開催する、外部の語学講習への参加を促すなど、日本語の勉強の機会を設け、実習生の語学レベルの向上を目指しましょう。

語学の習得だけでなく、生活ルールを理解してもらうことも重要です。

来日前に日本における生活ルールを学ぶのが一般的ですが、ゴミ出しや自転車の交通ルール、寮生活に関するルールなどを、企業からもあらためて説明するとよいでしょう。そのうえで実習生の母国の文化も理解し、尊重することで、信頼関係を構築します。

まとめ

技能実習生の主なトラブルとして、雇用条件のトラブルや借金、失踪などが挙げられます。トラブルが発生する背景には、金銭問題や言語の壁、不当な労働環境など、複雑な要因があります。

技能実習生のトラブルの多くは、企業の対策により予防できます。

「技能実習生はトラブルが起こりやすい」という先入観を持たず、受け入れ態勢をしっかり整えることが、技能実習生の受け入れを成功させる鍵となるでしょう。

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