特定技能の協議会とは?加入のタイミングや方法、注意点について解説

特定技能制度を利用して外国人材を受け入れる企業は、「特定技能協議会」への加入が義務づけられています。

協議会は、受け入れ分野ごとに設立されており、外国人材の適正な雇用や就労環境の改善を目的としています。

この記事では、特定技能協議会の役割から加入の流れ、注意点までをわかりやすく解説します。これから外国人材を受け入れる企業は、申請前に必ず確認しておきましょう。

特定技能協議会とは

特定技能協議会とは、産業ごとの分野別に官公庁が設置している組織です。特定技能外国人を受け入れる際には、企業が所属する業種の協議会に加入することが義務づけられています。

協議会の活動内容とその目的は以下のとおりです。

  1. 特定技能外国人の受入れに係る制度の趣旨や優良事例の周知
  2. 特定技能所属機関等に対する法令遵守の啓発
  3. 就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析
  4. 地域別の人手不足の状況の把握・分析
  5. 人手不足状況,受入れ状況等を踏まえた大都市圏等への集中回避に係る対応策の検討・調整
  6. 受入れの円滑かつ適正な実施のために必要なその他の情報・課題等の共有・協議等

参照:法務省「特定技能における分野別の協議会について」

また、特定技能制度は法改正や運用の変更が頻繁に行われるため、協議会に加入しておくことで、最新の制度やルールに関する情報をタイムリーに受け取ることができるというメリットもあります。これにより、企業は法令遵守を確実に行い、制度変更への柔軟な対応が可能となります。

業種別の協議会一覧

分野協議会名称主な管轄省庁
介護 介護分野における特定技能協議会厚生労働省
ビルクリーニング ビルクリーニング分野協議会
工業製品製造 一般社団法人工業製品製造技能人材機構経済産業省
建設業 一般社団法人建設技能人材機構国土交通省
造船・舶用工業 造船・舶用工業特定技能協議会
自動車整備 自動車整備特定技能協議会
航空 航空分野特定技能協議会
自動車運送業 自動車運送業分野協議会
鉄道 鉄道分野協議会
宿泊業 宿泊業技能協議会観光庁
農業 農業特定技能協議会農林水産省
漁業 漁業特定技能協議会
林業 林業分野特定技能協議会
飲食料品製造 食品産業特定技能協議会
外食業 外食業技能協議会
木材産業 木材産業分野協議会林野庁
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特定技能協議会への加入は義務

特定技能協議会への加入は、出入国管理及び難民認定法(入管法)第19条の17に基づいて義務づけられており、特定技能外国人を受け入れる企業は必ず所属業種の協議会に加入する必要があります。

加入を怠ると、在留資格認定証明書の交付が認められず、外国人を雇用することができません。

この義務は受け入れ企業だけでなく、支援業務を行う登録支援機関にも適用されます。協議会加入は、特定技能制度を正しく運用し、適正な雇用管理を行っていることを示す基準の一つであり、制度全体の健全な運営を支える重要なルールです。

協議会に加入しないとどうなる?

協議会に加入せずに申請を行うと、在留資格申請時に「差し戻し」または「不許可」となるリスクがあります。結果として、特定技能外国人の受け入れができなくなり、人材を確保できない事態に陥る可能性があります。

具体的には、以下のような問題が発生します。

  • 在留資格認定証明書が発行されない
  • 入管での審査が長期化する
  • 監督官庁から指導を受ける
  • 受け入れ企業としての信用を失う
  • 必要な人材を確保できず、企業の運営や事業計画に支障をきたす

特定技能協議会に加入するタイミング

かつては、特定技能外国人の受け入れから4ヵ月以内に協議会に加入すればよいとされていましたが、令和6年6月15日以降は制度が変更され、在留資格の申請時に協議会加入証明書の提出が必須となりました。

そのため、原則として在留資格認定証明書を申請する前に、協議会への加入を済ませておく必要があります。特定技能外国人の採用を決めた段階で、速やかに協議会への加入申請を行うことが求められます。

特に、初めて外国人材を受け入れる企業は、書類準備や協議会審査に時間を要することがあるため、申請予定の1ヵ月前には加入手続きを始めるのが理想です。

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特定技能協議会に加入する流れ

特定技能協議会に加入する流れは、以下の5つのステップになります。

ステップ内容
1. 所属業種の確認 自社がどの分野に該当するかを確認し、該当する特定技能協議会を特定します。分野によって協議会の窓口や提出先が異なります。
2. 協議会の公式サイトで申請書類を入手 各協議会の公式サイトにアクセスし、申請様式やガイドライン、誓約書などをダウンロードします。フォームはPDFやExcelで提供されていることが多いです。
3. 必要書類を提出 登記事項証明書、雇用契約書、支援計画書などを提出します。必要書類は協議会によって異なり、分野ごとの管轄省庁の指示に従う必要があります。
4. 審査・承認(1〜3週間) 書類に不備がないか審査が行われ、協議会によってはヒアリングや確認連絡がある場合もあります。繁忙期は3週間以上かかることもあります。
5. 加入証明書の発行 審査を通過すると協議会より「加入証明書」が発行されます。在留資格認定証明書の申請時にこの書類の添付が必要です。

特定技能協議会に加入する際の注意点

特定技能協議会への加入には、初回申請だけでなく、企業や事業所の状況に応じた対応が求められます。ここでは、見落としがちな注意点を解説します。

2人目以降を受け入れる際も加入が必要なことがある

基本的には、協議会への加入は企業単位で行われるため、2人目以降の特定技能外国人を受け入れる際に新たな加入申請は不要です。

ただし、以下のようなケースでは注意が必要です。

  • 同一企業内で異なる分野の特定技能外国人を受け入れる場合

新たに該当分野の協議会への加入申請が必要です。

  • 別の事業所で受け入れを行う場合

分野によっては事業所単位で協議会加入が求められるため、別事業所での受け入れには新たな申請が必要です。

  • 受け入れ予定人数の変更がある場合

受け入れ人数に変更が生じた際は、協議会への届出が義務づけられている場合があり、怠ると是正指導の対象となる可能性があります。

分野や協議会の運用ルールによって異なるため、詳細は該当する協議会の要項を事前に確認しておくことが大切です。

建設分野、工業製品製造分野では会費が必要

特定技能協議会は、制度の普及と円滑な運用を目的として設立されており、ほとんどの分野で加入費や年会費は発生しません。ただし、建設分野と工業製品製造分野においては、他の分野とは異なる運営体制が取られているため、協議会の運営費として会費が必要です。

これらの分野では、加入時だけでなく年度更新時にも費用がかかる場合があります。

詳細は建設分野の協議会である一般社団法人建設技能人材機構(JAC)と工業製品製造業分野の協議会である一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)の公式サイトをご覧ください。

申請時の差し戻しに注意

書類に不備があると、入管庁で差し戻されるケースがあります。その場合、在留資格の審査が大幅に遅れ、特定技能外国人の雇用開始時期が後ろ倒しになってしまいます。

そのため、各協議会が公開しているガイドラインをよく読み、申請書類のチェックリストを活用するなどして、書類の不備がないよう慎重に確認を行うことが重要です。

また、これらの手続きや書類準備に不安がある場合は、登録支援機関に支援業務を委託することで、プロのサポートを受けながら正確かつ迅速に申請を進めることができます。

ただし、分野によっては登録支援機関による手続き代行が認められていないこともあるので事前に確認しておきましょう。

特定技能外国人の採用サポートなら『アイデムグローバル』

アイデムグローバルでは、外国人材の採用から各種申請や生活支援まで一貫してサポートしています。3,800名以上の支援実績を持ち、各国の制度や文化に精通したスタッフが対応します。初めて外国人労働者を受け入れる企業も、安心して制度運用を始められます。

外国人労働者の受け入れを検討している企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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まとめ

特定技能協議会は、制度の適正な運用に欠かせない仕組みです。企業が特定技能外国人を受け入れるには、協議会に加入していなければ在留資格の申請が受理されず、採用自体ができなくなります。

建設業や製造業などの一部分野では年会費(約3〜5万円)が必要となるため、費用も考慮した計画が重要です。また、証明書の期限や受け入れ人数の変更届など、運用上のルールにも注意が必要です。

スムーズな採用のためには、早めの加入と情報収集を徹底し、制度に沿った体制を整えることが大切です。