労働力不足が進む日本の産業界において、特定技能制度の活用は急務となっています。その中でも、近年圧倒的な伸びを見せ、採用市場の主役に躍り出ているのがインドネシア人材です。

背景には、豊富な若年労働力と政府主導の強力な送り出し体制があります。一方で、採用担当者の中には宗教への配慮や独自の政府システムに不安を感じる方も少なくありません。

本記事では、採用メリットから具体的な手続き、定着率を高めるための施策まで、初めての方にもわかりやすく解説します。

そもそも特定技能制度とは?採用前に知っておきたい基本知識

インドネシア人材の採用を具体的に検討する前に、まずは制度の全体像を正しく把握しておきましょう。

特定技能制度は、国内の人材確保が困難な特定産業分野において、一定の専門性や技能を持つ即戦力の外国人を受け入れることを目的として2019年に創設されました。深刻な労働力不足を解消するための重要な柱であり、単なる労働力の補填ではなく、現場を支える専門人材の育成と活用が期待されています。

特定技能1号と2号の制度的な違い

特定技能には特定技能1号と特定技能2号の2つの区分があり、それぞれ在留条件や求められる習熟度が大きく異なります。

特定技能1号

特定技能1号は、比較的簡易な業務に従事する外国人向けの資格です。在留期間は1年ごとの更新が必要で、通算して最長5年までと定められています。

技能水準については、各業種で実施される試験への合格、または技能実習2号を修了していることが求められ、日本語能力は日常会話程度(N4相当以上)が目安となります。

なお、1号の段階では家族を日本に呼び寄せる「家族帯同」は認められていません。現在、特定技能1号は16分野で受け入れが可能となっており、多くのインドネシア人材はこの1号から日本でのキャリアをスタートさせます。

特定技能2号

特定技能2号は、より熟練した技能を持つ外国人を対象とした資格です。技能水準は各業種が定める高度な試験への合格などが求められ、1号よりも高い専門性が必要とされます。

1号とは異なり、日本語能力試験の合格という形式的な要件は課されていませんが、現場のリーダーとして円滑に指示を出すための実質的なコミュニケーション能力は不可欠です。

最大の特徴は、在留期間の更新制限がないため、更新を続けることで永続的な就労ができることです。また、1号では認められていなかった配偶者と子の帯同が可能となるため、母国から大切な家族を呼び寄せて日本で共に暮らすという選択肢も可能になります。

受け入れ可能な分野と2号移行の範囲

現在、特定技能1号は以下の16分野で受け入れが可能です。特定技能2号はこれまで建設業と造船・舶用工業の2分野のみでしたが、2023年の制度改正により、現在は介護分野を除くすべての特定技能1号対象分野において、特定技能2号への段階的な移行・受け入れが可能となりました。

介護(※2号対象外。ただし「介護」の在留資格へ移行することで長期就労が可能)、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業

1号として5年間の実務経験を積みながら、各分野の熟練した技能を測る試験に合格することで2号へ移行できます。

これにより、企業は自社で育てた熟練人材を定年まで雇用し続けることができるようになりました。特に上昇志向が強く、日本での長期滞在を希望するインドネシア人材にとって、このキャリアパスの存在は大きな就業動機となっています。

特定技能については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:特定技能とは?制度の概要や1号・2号の違い、対象分野について

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なぜ今インドネシアなのか?急増の背景と市場の勢い

インドネシア人の特定技能が選ばれる理由|採用手続きから宗教対応まで分かりやすく解説

現在、特定技能の送り出し国の中で、インドネシアは増加数、伸び率ともにトップクラスの勢いを誇っています。

増加数でベトナムを逆転。今、最も選ばれている国へ

出入国在留管理庁の最新統計(特定技能制度における運用状況)によると、令和7年6月末時点で全体の在留人数は33.6万人を突破しました。ここで注目すべきは、これまで最大勢力であったベトナムの現状と、急増するインドネシア人材の動向です。

国籍・地域令和7年6月末(人)構成比半年間の増加数半年間の増加率
ベトナム148,48644.2%+15,00811.2%
インドネシア69,53720.7%+15,99929.8%

特筆すべきは、半年間の純増数においてインドネシアがベトナムを上回り、全送り出し国で1位となった点です。

構成比では依然としてベトナムが1位ですが、その伸びは緩やかになりつつあります。一方でインドネシアは、半年間で約1.6万人増、増加率は約30%という驚異的なスピードで拡大しています。

ミャンマーやフィリピン、中国といった他国と比較しても、インドネシアの母集団の大きさと成長スピードのバランスは群を抜いており、採用市場の主役が交代しつつあることを示しています。

特定技能のインドネシア人が選ばれる3つの理由

なぜ、これほどまでに多くの企業がインドネシア人材に注目しているのでしょうか。それは、日本の現場が求める若さ、マインド、公的サポートの3つの要素が、インドネシアには高いレベルで揃っているからです。

ここでは、インドネシア人材が多くの企業から選ばれる背景を解説します。

若年層が圧倒的に多く、募集から採用までのスピードが早い

インドネシア内務省の最新統計(2024年)を見ると、総人口は約2.81億人にのぼり、平均年齢は約30歳と非常に若い力が溢れています。日本の平均年齢(約49.2歳:2024年推計)と比較すれば、その若さは一目瞭然です。

また、経済活動を支える中核となる15歳から64歳の人口層は約1.9億人に達しており、2030年には2億人を上回る見通しです。こうした働く世代が厚い人口構成の強みは、今後2040年頃まで長く続くと予測されています。

就労意欲の高い20代が次々と労働市場に供給される環境にあるため、求人に対してスピーディーに応募が集まりやすいという背景があります。

世界有数の親日国であり、日本語学習者の数と意欲が際立っている

インドネシアは世界で2番目に日本語学習者が多い国(国際交流基金調べ)であり、2021年時点で約71万人もの人々が日本語を学んでいます。

この背景には、2006年から高校での第二言語履修において日本語が選択肢に加わった教育制度の影響が大きく、若年層にとって日本語は身近な言語となっています。伝統的な日本の歴史や観光地への敬意はもちろん、漫画やアニメといったサブカルチャーも幅広く愛されており、日本に対して高い親近感を持っています。

また、日本への留学生数も過去10年以上にわたり、常に上位10カ国以内にランクインしており、日本で学び、就労したいという意欲的な層が極めて厚いことが特徴です。

政府主導の支援体制により、重要分野での即戦力確保が容易

インドネシア政府は、国を挙げて特定技能人材の海外派遣を強力に推進しています。特に、求職者と企業の透明性の高いマッチングを官民一体で支える独自のデジタルインフラを整備しており、不正な介在を防ぐ健全な送出環境を構築しています。

また、国公立の職業訓練校等において、日本向けの技能試験・日本語試験に特化したカリキュラムを導入しており、ニーズの高い介護、飲食料品製造、外食などの重点分野で、質の高い合格者が安定的に送り出される仕組みが整っています。

こうした政府による教育から送り出しまでの一貫したサポートがあるからこそ、企業は信頼性の高い即戦力を早期に確保できます。

企業と労働者、双方から見た採用のメリット

インドネシア人の特定技能が選ばれる理由|採用手続きから宗教対応まで分かりやすく解説

インドネシア人材の採用は、受け入れる企業側だけでなく、日本を就業先に選ぶ労働者側にとっても多くの利点があります。ここでは、双方がどのような価値を感じ、Win-Winの関係を築いているのか、具体的なメリットを詳しく解説します。

企業側のメリット

インドネシア人材の受け入れは、人手不足を解消し、企業の持続可能な成長を支える強力な戦力となります。

長期的な若手戦力の確保とリーダー育成

来日する人材の多くが20代と若く、体力面はもちろん習得の早さも魅力です。特定技能2号への移行を見据えれば、10年、20年といったスパンで現場の中核を担うリーダー候補として育てることができ、安定した人員計画が立てられます。

教育・採用コストの抑制と現場習得のスピード

インドネシア政府が整備したデジタルインフラの活用により、不透明な中間マージンを抑えた効率的なマッチングにつながります。

また、国内の技能実習修了者を採用する場合、日本の生活習慣を既に習得しているため、教育コストを抑えつつ即戦力として早期に現場へ定着させることができます。

組織に馴染む高い協調性とチームワーク

彼らの文化に根付いた「ゴトン・ロヨン(相互扶助)」の精神は、チームワークを重視する日本の現場によく馴染みます。周囲と協力しながら仕事を進める姿勢は組織の活性化にも寄与し、国籍の垣根を超えた円滑な現場運営を支える力となります。

外国人採用のメリットについては、下記の記事で詳しく解説しています。

関連記事:外国人雇用のメリット7選|企業が得られる具体的な利点とは?

労働者側のメリット

日本での就労は、インドネシア人材にとって自己実現や家族の将来を支えるための貴重なチャンスです。

安定した高水準の雇用環境

日本の賃金水準は依然として魅力的であり、母国の家族への仕送りや将来のための貯蓄を通じて、経済的な安心感と家族の幸せを同時に実現できます。

スキルアップとキャリアアップの機会

高度な技術習得への意欲が高く、特定技能2号へのステップアップが可能な環境は、高い就業モチベーションと定着率に直結しています。

親日的な文化背景と暮らしやすさ

世界有数の親日国であり、日本の文化・生活様式への抵抗が少ないため、早期に職場や地域社会へ馴染むことができます。

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インドネシア人の性格的特徴と宗教への配慮

インドネシア人材は温厚で社交的な性格が特徴です。年長者を敬う文化から、日本人の上司や先輩の指示も素直に受け入れる傾向があります。

また、イスラム教徒が多いものの、近年の特定技能人材は信仰と仕事の両立に柔軟です。礼拝は休憩時間を活用して数分で行うなど実務への影響は少なく、食事(豚肉・アルコールの回避)も自前の弁当で対応するケースが目立ちます。

ラマダン中の体調管理に一定の配慮は必要ですが、基本的には相互理解を深めることで、現場でのトラブルなく円滑に受け入れられます。

インドネシア特有の採用プロセスと受け入れの流れ

インドネシア人材の採用では、インドネシア政府が運営する雇用管理システム「SIAPkerja(シアップクルジャ)」や、海外労働者管理システム「SISKOP2MI(旧称:SISKOTKLN)」を通じた登録・管理が行われます。これらは、海外就労者の保護や制度の適切な運用を目的として整備されている仕組みです。

また、ベトナム等と比較して、現地の送り出し機関を介さない形での採用も制度上は可能とされています。ただし、実際の手続きや現地調整には専門的な知識が求められるため、実務では専門会社や支援機関と連携して進めるケースも多く見られます。

インドネシア在住者の場合

現地在住の候補者(元技能実習生、特定技能試験合格者など)を受け入れる場合、まず企業は「SIAPkerja」に求人登録を行い、候補者を選定して雇用契約を締結します。その後、日本側で在留資格認定証明書(CoE)の交付申請を行います。

CoE交付後、本人側で「SISKOP2MI」への登録、およびビザ申請を行います。最終的にデジタル海外労働者証(E-PMI、旧E-KTKLN)が発行され、来日・就業が可能となります。

現地採用は手続きが重層的ですが、広大な母集団から即戦力を確保できるメリットがあります。

日本在住の場合

既に技能実習修了者や留学生として国内に在留している外国人を採用する場合は、「在留資格変更許可申請」を行います。

国内採用であっても、インドネシア政府の規定により「SISKOP2MI」への登録と、駐日インドネシア大使館からの推薦状(Surat Rekomendasi)の取得が必須となります。これを行わずに就業させると、本人が将来的にインドネシアへ一時帰国した際に出国できなくなるなどのリスクが生じるため、最新の運用ルールに基づいた確実な手続きが重要です。

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採用から入国までにかかる費用相場

インドネシア人材の採用コストは、主に初期費用・渡航関連費用・運用コストの3つです。

初期費用には人材紹介手数料や申請代行費が含まれ、渡航関連では航空券代や健康診断費が発生します。これらは企業負担が一般的です。入国後の運用コストとしては、登録支援機関への支援委託料(月額2〜4万円程度)が必要となります。

コストを抑えるには、渡航費のかからない国内在住者の採用や現地ネットワークを直接持つパートナーを選び、中間手数料を削減できます。

まとめ

インドネシア人材の採用は、組織に新しい活力をもたらす戦略的な投資です。

アイデムグローバル』は、特定技能人材4,400名以上(2026年2月1日現在)の内定実績を誇ります。複雑な政府システムへの対応から入国後のフォローまで、一気通貫でサポートいたします。実績と信頼のアイデムグローバルへ、ぜひご相談ください。