ビルメンテナンス業界では人手不足が深刻化しており、外国人材の活用が重要なテーマとなっています。その中でも特定技能の一つ「ビルクリーニング」は、即戦力人材の採用が可能な制度として注目されています。

この記事では、制度の概要から業務内容、受け入れ要件、取得の方法や試験内容までを解説します。

特定技能「ビルクリーニング」とは

特定技能「ビルクリーニング」は、深刻な人手不足に対応するために創設された在留資格で、一定の専門性と技能を持つ外国人が就労できる制度です。主にオフィスビルや商業施設、ホテルなどの清掃業務を担います。

なお、特定技能は人手不足の分野で外国人材の就労を認める在留資格で、「1号」と「2号」に区分される点が大きな特徴です。制度全体の概要や違いについては、関連記事も併せてご覧ください。

関連記事▶︎特定技能とは?制度の概要や1号・2号の違い、対象分野について

特定技能制度は即戦力として働ける人材を前提としています。単純作業ではなく、一定の技能や知識を必要とする点が特徴で、労働力確保の側面が強い制度として位置づけられています。

2023年から特定技能2号も受け入れ可能に

これまではビルクリーニング分野の受け入れ対象は特定技能1号のみでしたが、2023年秋から特定技能2号の試験が開始され、受け入れが可能となりました。

これにより、従来は建設業と造船・舶用工業の2分野に限られていた特定技能2号が、ビルクリーニングを含む11分野へと拡大しています。

特定技能2号は在留期間の上限がなく、家族帯同も可能であるため、長期的な就労や安定した雇用につながる点が大きな特徴です。

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特定技能「ビルクリーニング」が従事できる業務

特定技能「ビルクリーニング」で従事できる業務は、単なる清掃作業にとどまらず、建物の衛生環境や安全性を維持するための専門的な業務が中心となります。

ビルクリーニング分野における特定技能1号・2号それぞれが従事できる業務は次の通りです。

項目ビルクリーニング特定技能1号ビルクリーニング特定技能2号
主な役割清掃作業の実務担当現場管理・マネジメント
業務の位置づけ実務が主、管理は付随的管理が主、実務は前提スキル
清掃作業自ら実施(中心業務)実施しつつ指導も行う
作業員の指導補助的に実施可能主業務として実施
現場管理原則サポート的主体的に担当
計画作成・進行管理原則対象外(付随業務)主業務として実施
ポジション作業スタッフ現場責任者・リーダー

まず、特定技能1号では「建築物内部の清掃」が主業務とされており、床・ガラス・トイレ・洗面台などの清掃に加え、客室清掃(ベッドメイクやアメニティ補充を含む)まで一連の実務を担います。ポイントは、あくまで自ら手を動かす“実作業の担い手”であることです。

一方、特定技能2号は業務の位置づけが大きく異なります。清掃作業自体は共通しつつも、複数の作業員を指導しながら現場を管理することが主業務となり、さらに作業計画の作成、進行管理、品質管理といったマネジメント業務が明確に求められます。

つまり、2号は「作業もできる管理者」であり、現場全体の品質と効率をコントロールする立場です。

これに対し1号は、あくまで現場業務を中心としつつ、一部で補助的に指導や管理に関わるレベルにとどまります。

このように、1号と2号は単なるスキルの差ではなく、役割そのものが異なる制度設計になっています。採用時には「どのレベルの人材を求めるのか」を明確にすることが重要です。

特定技能「ビルクリーニング」の外国人を受け入れるための要件

外国人材を受け入れるには、企業側にも次のような要件が課されます。

  • 「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録を受ける
  • ビルクリーニング分野の特定技能協議会に加入する
  • 義務的支援の体制を整える

以下で詳しく見ていきましょう。

また、要件については下記の記事でも詳しく紹介しています。

関連記事▶︎特定技能外国人の受け入れ企業になる条件は?支援義務や受け入れまでの流れを解説

「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録を受ける

特定技能「ビルクリーニング」を持つ外国人労働者を受け入れる企業は、「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」のいずれかの登録を受ける必要があります。これは、適切な衛生管理体制を有していることを示す基準です。

登録は各営業所の所在地を管轄する都道府県知事に対して行い、申請手続きや要件の詳細は、各都道府県の生活衛生担当部署(環境衛生・生活衛生課など)へ確認する必要があります。地域ごとに運用や窓口が異なるため、事前の問い合わせが重要です。

また、設備や人員、管理体制などの要件を満たさなければ登録は認められません。未登録のままでは、特定技能外国人の受け入れはできないため注意が必要です。

ビルクリーニング分野の特定技能協議会に加入する

受け入れ企業は「ビルクリーニング分野特定技能協議会」への加入が義務付けられています。これは、外国人材の適正な受け入れや雇用環境の確保を目的として、業界全体でルールを共有・管理するための仕組みです。協議会は、厚生労働省の方針のもと、業界団体が中心となって運営されており、受入企業間での情報共有や制度運用の適正化を担っています。

特に重要なのが、2024年6月以降は在留資格申請前に加入が必須となった点です。従来のように採用後に対応するのではなく、採用プロセスの初期段階から加入手続きを進める必要があります。

また、加入後は年次報告をはじめとした各種報告義務が課されます。具体的には、特定技能外国人の就労状況や支援実施状況などを定期的に提出し、適正な雇用が維持されているか確認されます。

なお、未加入のまま受け入れを行った場合、在留資格の許可が下りない、あるいは更新が認められないなどのリスクがあります。最悪の場合、受け入れ自体が継続できなくなる可能性もあるため、事前に確実な対応が求められます。

義務的支援の体制を整える

特定技能外国人の受け入れ企業は、外国人材に対して生活・就労支援を行う必要があります。特に特定技能1号では支援の実施が義務であり、受入企業は所定の支援計画に基づき、以下の支援を継続的に行わなければなりません。

主な支援内容は次のとおりです。

  • 入国前ガイダンスの実施
  • 住居確保の支援
  • 生活オリエンテーションの実施
  • 日本語学習の機会提供
  • 相談・苦情への対応
  • 退職時の転職支援や帰国支援

一方で、特定技能2号ではこれらの支援は任意とされており、制度上の義務は課されていない点が大きな違いです。

これらの支援は自社で実施することも可能ですが、専門的なノウハウが求められるため、登録支援機関へ委託するケースも多く見られます。支援の質は定着率やトラブル防止に直結するため、委託先の選定は慎重に行うことが重要です。

関連記事▶︎登録支援機関を選ぶ8つのポイントと費用の相場について

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当社『アイデムグローバル』では、特定技能外国人の採用から定着支援までをワンストップで提供しています。

創業50年以上の人材サービス実績を背景に、特定技能分野でも豊富な支援実績を有しています。外国人専任スタッフが集客から面接、在留資格申請、入社後の生活支援まで一貫して対応し、行政書士とも連携しながらスムーズな受け入れを実現します。

また、国内外からの人材集客に対応しており、ビルクリーニングを含む特定技能全分野で受け入れが可能です。さらに、ベトナム語・ミャンマー語・英語・韓国語・カンボジア語・インドネシア語の6か国語での支援体制を整え、現場でのコミュニケーションや定着を強力にサポートします。

特定技能外国人の受け入れを検討している企業様は、お気軽にお問い合わせください。

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特定技能「ビルクリーニング」の1号を取得するには

特定技能「ビルクリーニング」の1号を取得する方法としては、以下の2つがあります。

  • 「ビルクリーニング」分野特定技能1号評価試験に合格する
  • 「ビルクリーニング」分野の技能実習2号から移行する

「ビルクリーニング」分野特定技能1号評価試験に合格する

「ビルクリーニング」分野の特定技能試験では、実務に必要な知識と技能を測るため、清掃方法や安全管理などが出題されます。筆記と実技の両方があり、実践力が重視されます。

なお、特定技能1号を取得するには、この技能試験に合格することに加え、日本語能力試験(N4以上またはJFT-Basic)にも合格する必要があります。

いずれか一方のみでは要件を満たさない点に注意が必要です。

技能試験

「ビルクリーニング」分野特定技能1号評価試験の受験概要は次の通りです。

受験資格・試験日時点で17歳以上である・日本国内での試験の場合、在留資格を持っている
試験内容学科試験20問(20分)実技試験30問(30分)
試験場所日本国内、インドネシア、タイ、フィリピン、ネパール、スリランカ、ベトナム、ミャンマーなど
合格率63.6%(試験期間2026年3月16日~3月31日)

試験の実施場所に関しては、「日本国内・国外を問わず、実施環境が整った国・都市から実施する」とされています。そのため、年によって実施される都市や国が異なるケースがあります。

日本語能力試験

業務指示の理解や報連相ができるレベルとして、日本語能力試験(JLPT)N4以上、もしくは国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の合格が求められます。

JLPTは読む・聞く力を中心に日本語能力を測る世界的な試験で、N4は基本的な日本語理解ができる水準です。一方、JFT-Basicは生活や職場で必要なコミュニケーション力を測る試験で、より実務寄りの日本語力を評価します。

JLPTとJFT-Basicについては下記の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

関連記事▶︎日本語能力試験(JLPT)とは?N1〜N5までの難易度や合格率、企業の判断基準について解説
関連記事▶︎JFT-Basicとは?特定技能で求められるレベルや難易度、企業の判断基準について解説

「ビルクリーニング」分野の技能実習2号から移行する

技能実習制度は、開発途上国への技能移転を目的とした在留制度で、実務を通じて日本の技術・知識を習得する仕組みです。

関連記事▶︎技能実習生とは?制度の目的や概要受け入れ方法を解説

ビルクリーニング分野で技能実習2号を修了している場合は、特定技能へ移行して1号を取得可能であり、この場合は「ビルクリーニング」分野特定技能1号評価試験(技能試験)は免除されます。

すでに同分野での実務経験と技能が確認されているため、現場経験を活かしてスムーズに在留資格を切り替えられる点が特徴です。

特定技能「ビルクリーニング」の2号を取得するには

特定技能2号では、より高度な技能と実務経験を持つ人材が求められ、現場リーダーとしての役割が期待されます。

取得の方法は、次の2つです。

  • 「ビルクリーニング」分野特定技能2号評価試験に合格する
  • 「ビルクリーニング技能検定1級試験」に合格する

これに加えて、2年以上の現場管理業務の実務経験が求められます。

この実務経験は、在籍企業による在職証明や業務内容証明書類などで立証する必要があり、受け入れ機関の協力が不可欠です。

「ビルクリーニング」分野特定技能2号評価試験に合格する

「ビルクリーニング」分野特定技能2号評価試験の受験概要は次の通りです。

受験資格・2年以上の現場管理業務の実務経験がある・日本国内での試験の場合、在留資格を持っている
試験内容学科試験50問(60分)実技試験10問(90分)
試験場所日本(原則として東京都・大阪府)
合格率3.7%(試験日時2025年9月30日)

特定技能2号となると試験の難易度も上がり、2025年9月30日に行われた試験では受験者数54名のうち合格者は2名となっています。

「ビルクリーニング技能検定1級試験」に合格する

「ビルクリーニング技能検定」とは、全国ビルメンテナンス協会が実施するもので、厚生労働省の認定する国家資格です。基礎級・3級・2級・1級に分類されるうち、1級を取得することで特定技能「ビルクリーニング」の2号を取得することができます。

受験資格・5年以上の現場管理業務の実務経験がある・2級の検定に合格し、合格後1年以上の実務経験がある・3級の検定に合格し、合格後3年以上の実務経験がある・建築物衛生管理科の職業訓練指導員免許を保有している・ビルクリーニングに関する短期課程の普通職業訓練で総時間700時間以上のものを修了し、4年以上の実務経験がある
試験内容学科試験50問(60分)実技作業試験3問(最大41分)実技ペーパーテスト(60分)
試験場所日本国内(東京都、北海道、宮城県、愛知県、大阪府など)
合格率37.7%(2025年)

試験会場については、全国ビルメンテナンス協会のHPでも確認できます。

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まとめ

特定技能「ビルクリーニング」は、即戦力人材の確保に加え、2号の活用により現場管理人材まで内製化できる制度として企業にとって有効な選択肢です。慢性的な人手不足の解消だけでなく、品質の標準化や現場運営の安定化にも繋がります。

一方で、受け入れには登録要件の充足、協議会加入、支援体制の構築など実務対応が多岐にわたる点に留意が必要です。採用計画の段階から制度要件を織り込み、外部パートナーの活用も含めて運用設計を行うことが、導入成功の鍵となるでしょう。