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少子高齢化の進行により、製造業界では深刻な人手不足が続いています。特に、金属加工や機械組立などの分野では、熟練技術者の高齢化が進み、若手人材の確保が喫緊の課題となっています。
こうした背景から、即戦力としての外国人材の受け入れが可能な「特定技能」制度に注目が集まっています。
本記事では、2025年の制度改正により新たに再編された「工業製品製造業分野」の最新動向や、受け入れに必要な手続き、注意点、成功・失敗事例までをわかりやすくご紹介します。
工業製品製造業における現在の受入れ状況
少子高齢化による深刻な人手不足は、製造業界においても大きな課題となっています。
特に金属加工や機械組立など熟練を要する分野では、技術者の高齢化と若手人材の不足により、事業継続や技術継承のリスクが高まっています。
こうした中、即戦力となる外国人材の活用が可能な「特定技能」制度への注目が高まっています。
2025年2月末時点では特定技能1号の在留人数45,587人となっており、特定産業分野16分野の中でも3番目に多い分野となっています。
分野(特定技能1号) | 人数 |
介護業 | 47,063 |
ビルクリーニング業 | 6,390 |
工業製品製造業 | 45,587 |
設業 | 40,240 |
造船・舶用工業 | 9,886 |
自動車整備業 | 3,212 |
分野(特定技能2号) | 人数 |
ビルクリーニング業 | 5 |
工業製品製造業 | 166 |
建設業 | 290 |
造船・舶用工業 | 92 |
自動車整備業 | 17 |
宿泊業 | 7 |
出入国在留管理庁「外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」より
※2025年月2月末現在
2024年4月からの5年間の受け入れ上限人数は17万3,300人となり、前の5年間(4万9,750人)の約3.5倍に引き上げられ、特定技能制度のさらなる普及と人材確保に寄与すると考えられます。

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工業製品製造業における最新動向
2024年3月、政府は特定技能制度の大幅な見直しを行い、製造業界にも大きな転換期が訪れています。これまで製造分野では3業種に限定されていた受け入れ対象が、制度改正によって10業種へと拡大します。
特定技能「製造分野」が10業種に拡大
従来、特定技能制度では「素形材産業」「産業機械製造」「電気・電子情報関連製造」の3分野が対象とされていました。今回の見直しでは、以下を含む7業種が追加され、合計10業種に変更となります。
これまでの業務区分
- 機械金属加工
- 電気電子機器組立て
- 金属表面処理
新たに追加になった業務区分
- 紙器・段ボール箱製造
- コンクリート製品製造
- 陶磁器製品製造
- 紡織製品製造
- 縫製
- RPF製造
- 印刷・製本
これにより、製造業各社が必要とするより幅広い技能領域に対応した人材を、特定技能の枠組みで受け入れられるようになります。
新団体「一般社団法人工業製品製造技能人材機構」設立
2025年6月下旬に設立される予定の一般社団法人工業製品製造技能人材機構は、製造業における特定技能外国人の受け入れを支援するための団体です。
これまでは「協議・連絡会」への加入・参加が求められていましたが、今後は新たに設立される「一般社団法人 工業製品製造技能人材機構」への入会が必須となります。
背景にある制度の大きな変化
2024年の制度見直しでは、受け入れ可能な人数もおよそ3.5倍に増加。
特定技能の製造分野において対象業種が3業種から10業種へ拡大し、今後さらに多様な現場での外国人の活用が見込まれています。
このような変化に対応するため、受け入れ側の企業だけでなく、業界全体をサポートする仕組みが必要となったことが背景として挙げられます。
主な支援内容
工業製品製造技能人材機構では、以下のような支援が予定されています。
- 特定技能評価試験の作成・実施
- 他言語対応の相談窓口の運営)
- 試験対策講座や教材の提供
- 在留申請・報告書作成セミナーの開催
また、受け入れ企業向けには、雇用管理体制整備やガイドラインの提供なども行われる予定です。
会員制度と加入対象
団体は会員制となっており、以下のような区分が設けられています。
- 正会員:業界団体(年会費10万円)
- 賛助会員:特定技能外国人を受け入れる製造業の事業所(中小企業は年会費3万円)
※既存の協議・連絡会に加入している事業者は、あらためて産業分野や外国人材が従事する業務内容の確認など、 追加のご負担が生じないよう円滑に移行できる仕組みが検討されています。

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活用事例から学ぶ!成功例と失敗例
成功事例
岐阜県 機械関連製造 B社(従業員数約40名)
食品加工工場B社では、24時間稼働を支えるシフト制を採用していましたが、土日祝日の人員確保が大きな課題となっていました。特に若手の日本人社員は「休日出勤を避けたい」という意識が強く、シフト作成に苦慮。結果として管理職が休日に出勤せざるを得ない状況も続いていました。
そこで同社は、土日祝勤務に柔軟な対応が可能な特定技能外国人材の活用を決定。ベトナム人スタッフ数名を受け入れた結果、休日でも安定的にシフトが回るようになり、現場の負担が大幅に軽減されました。
加えて、残業対応にも前向きな姿勢を見せてくれたことで、急なトラブル時の対応力も向上。管理職からは「休日の予定が立てやすくなった」「家族との時間が確保できた」といった声も上がり、働き方改革にもつながる好事例となっています。
失敗事例
三重県 金属プレス加工 X社(従業員数約80名)
X社では、初めて特定技能外国人材を3名採用しました。
現場の人手不足解消を期待しての導入でしたが、結果として1年以内に2名が他社へ転職してしまうという事態に。残った1名も「今後の継続勤務に不安がある」と話す状況になってしまいました。
原因を振り返ってみると、次のような課題が明らかになりました。
- 入社後の受け入れ体制が整っていなかった
→ 専門用語が飛び交う中で、初期の教育やサポートが十分ではなかった。 - 日常的なフォローやコミュニケーション不足
→ 配属後は「現場任せ」となり、上司や総務が定期的に状況確認や声掛けをする機会がほとんどなかった。 - 職場の文化や期待値の共有が不足
→ 勤務条件や昇給・評価の考え方、日本企業での働き方に関する説明が不十分だったため、本人との間に「期待のズレ」が生じてしまった。
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まとめ
2025年の制度変更により、「工業製品製造業分野」への再編や新団体の設立など、製造業における特定技能制度は大きな転換期を迎えています。
これらの変化は、外国人材の受け入れ体制を見直し、より計画的・戦略的に導入を進める好機でもあります。
当社では、製造業分野に特化した支援実績をもとに、書類作成・初期教育・定着支援までトータルでサポートいたします。ご検討の企業さまは、ぜひお気軽にご相談ください。

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