外国人労働者 最低賃金

外国人の雇用でよくある疑問の一つに、「外国人労働者の給与はいくらにすべきか」という疑問があります。日本では「最低賃金」が定められていることで労働者の賃金が担保されていますが、外国人労働者は対象となるのでしょうか。

この記事では、外国人労働者の最低賃金についてわかりやすく解説します。また、外国人労働者の平均賃金や、外国人労働者にかかる税金などについてもまとめました。

最低賃金とは?

最低賃金とは、労働する人に対して使用者が支払わなければならない賃金の最低額のことです。法律で規制されており、最低賃金以下で働かせていた場合は罰則として50万円以下の罰金が課せられます。

現時点での地域別最低賃金

厚生労働省から発表されている地域別の最低賃金は次の通りとなっています。令和6年10月に、各都道府県の最低賃金が改定されました。

都道府県名最低賃金時間額(円)改定前からの引上げ率(%)
令和6年改訂前
北海道1,0109605.2
青森9538986.1
岩手9528936.6
宮城9739235.4
秋田9518976
山形9559006.1
福島9559006.1
茨城1,0059535.5
栃木1,0049545.2
群馬9859355.4
埼玉1,0781,0284.9
千葉1,0761,0264.9
東京1,1631,1134.5
神奈川1,1621,1124.5
新潟9859315.8
富山9989485.3
石川9849335.5
福井9849315.7
山梨9889385.3
長野9989485.3
岐阜1,0019505.4
静岡1,0349845.1
愛知1,0771,0274.9
三重1,0239735.1
滋賀1,0179675.2
京都1,0581,0085
大阪1,1141,0644.7
兵庫1,0521,0015.1
奈良9869365.3
和歌山9809295.5
鳥取9579006.3
島根9629046.4
岡山9829325.4
広島1,0209705.2
山口9799285.5
徳島9808969.4
香川9709185.7
愛媛9568976.6
高知9528976.1
福岡9929415.4
佐賀9569006.2
長崎9538986.1
熊本9528986
大分9548996.1
宮崎9528976.1
鹿児島9538976.2
沖縄9528966.3
全国加重平均額1,0551,0045.1

参照:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」

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最低賃金は外国人労働者にも適用される

最低賃金法は全ての労働者に適用され、外国人労働者の場合も同様です。国籍の違いや在留資格の違いなども関係なく、全ての外国人労働者に最低賃金法が適用されます。

もし仮に、双方の合意のもとで最低賃金を下回った給与額で雇用契約を締結した場合でも、その金額は無効になり、最低賃金額が適用されます。

最低賃金を下回る金額での支払いをした場合、外国人労働者の受け入れ停止の対象となります。

「同一労働同一賃金」も同様に適用

外国人労働者の給与に関わる考え方として「同一労働同一賃金」というものがあります。これは、雇用形態に関わらず、業務内容が同じであれば同じ賃金を支払うべきであるという考え方です。

“基本給が、労働者の能力又は経験に応じて支払うもの、業績又は成果に応じて支払うもの、勤続年数に応じて支払うものなど、その趣旨・性格が様々である現実を認めた上で、それぞれの趣旨・性格に照らして、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。
引用:厚生労働省|「同一労働同一賃金ガイドライン」

同じ業務で同じ働きをしているに関わらず、正社員とアルバイトで賃金格差がある場合、同一労働同一賃金に反すると判断されることがあります。

報酬の差が認められるケース

同一労働同一賃金が適用される中で、報酬の差が認められるケースについて具体的に見ていきましょう。

例として、日本語が堪能に話すことができて業界経験もあるAさんと、日本語が堪能ではなく業界経験のないBさんの場合、異なる業務を担当する場合は報酬の差が認められます。反対に、同じ業務を担当する場合は、経験や言語スキルに関わらず報酬の差は認められません。

つまり、報酬の差は担当する業務内容によって認められるということです。

正規雇用と非正規雇用の場合も、業務内容の違いとルールを明確にした上であれば、報酬の差が認められるようになります。

“正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者との間で賃金に相違がある場合において、その要因として賃金の決定基準・ルールの違いがあるときは、「正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者は将来の役割期待が異なるため、賃金の決定基準・ルールが異なる」という主観的・抽象的説明ではなく、賃金の決定基準・ルールの相違は、職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の客観的・具体的な実態に照らして、不合理なものであってはならない。
引用:厚生労働省|「同一労働同一賃金ガイドライン」

外国人労働者の平均賃金

厚生労働省による「令和5年賃金構造基本統計調査」では、外国人労働者の平均賃金が在留資格別で以下のように発表されています。

在留資格平均賃金対前年比年齢勤続年数
専門的・技術的分野29.7万円-1.0%31.8歳3.0年
特定技能19.8万円-3.7%28.9歳2.4年
身分に基づくもの26.5万円-5.7%44.7歳5.7年
技能実習18.2万円2.2%26.2歳1.7年
その他(特定活動・資格外活動)23.1万円4.7%30.8歳2.5年
外国人労働者計23.3万円-6.4%33.0歳3.2年

また、雇用形態別の平均賃金は以下の通りです。

雇用形態平均賃金
正社員・正職員33.6万円
正社員・正職員以外22.7万円

外国人の短時間労働者の時給

外国人の短時間労働者(アルバイト、パート)の平均時給は、次の通りです。

性別平均時給
1,657円
1,312円
男女計1,412円

年齢ごとに時給の推移があり、1時間あたりの賃金が最も高い年齢は男性で40〜44歳の2,506円、女性で30〜34歳の1,488円となっています。

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日本人より賃金が低いと在留資格が取得できないことも

外国人労働者の給与設定では、特に特定技能の給与について留意する必要があります。

特定技能の在留資格を持つ外国人労働者には、日本人と同等以上の給与水準が求められています。そのため、外国人労働者の給与が最低賃金を上回っていても、同社で働く日本人よりも低い場合、在留資格の取得申請が通らない場合があります。

ただし、給与に差がある理由が差別的なものではなく、業務内容が異なることによる合理的なものである場合は、これには当てはまりません。

外国人を雇用する場合は、業務内容の棲み分けと給与の差について、事前に明確にしておきましょう。

外国人労働者と税金の関係について

外国人労働者の給与から引かれる税金については、外国人労働者が「居住者」「非居住者」のどちらに当てはまるかによって変わり、居住者に当てはまる外国人労働者は、さらに「永住者」と「非永住者」に分類されます。

居住者日本に住所を持ち、1年以上滞在している永住者過去10年間で日本に住所を持ち滞在している期間が5年以上
非永住者過去10年間で日本に住所を持ち滞在している期間が5年以下
非居住者居住者以外(ワーキングホリデー、インターン等)

それぞれに対する課税範囲は次の通りです。

永住者の課税範囲

永住者には以下の所得税が課税されます。

  • すべての国内所得
  • すべての海外所得

非永住者の課税範囲

非永住者には以下の所得税が課税されます。

  • すべての国内所得
  • 海外所得(日本国内で支払われた海外所得と日本国内へ送金された海外所得)

非居住者の課税範囲

非居住者には給与支給額の20.42%が源泉徴収されます。給与から所得控除はありません。

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まとめ

最低賃金法は、国籍や在留資格に関係なく適用されます。外国人を雇用する際は、給与や待遇を合理的に決め、外国人労働者にわかりやすく伝えた上で雇用契約を結びましょう。

特に税金関係はわかりづらいため、何のために引かれている金額なのかをしっかりと説明し、理解してもらう必要があります。

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