特定技能外国人は無期雇用にできる?企業のメリットや今後の懸念点を解説

2019年4月に施行されてからどんどん認知が拡大している特定技能制度。2024年12月時点での特定技能外国人は284,466人にも登ります。

しかし、特定技能外国人には在留期間の上限があるため「どうにか無期雇用にできないものか」と考える企業も多いのではないでしょうか。

この記事では、特定技能外国人の無期雇用について解説します。特定技能外国人を無期雇用するメリットや懸念点、特定技能1号・2号の違いなどについてまとめましたので、特定技能外国人の無期雇用を検討している方はぜひご参考ください。

特定技能外国人は無期雇用にできる?

特定技能外国人は、1号から2号に移行することで無期雇用が可能になります。

特定技能1号を取得している外国人労働者が条件を満たすと特定技能2号に移行できますが、求められる技能水準は高くなります。

特定技能1号・2号の違い

特定技能1号・2号のそれぞれの違いについては以下のとおりです。

特定技能1号特定技能2号
在留期間5年間(1年、6ヵ月、4ヵ月ごとの更新)上限なし(3年、1年、6ヵ月ごとの更新)
対象分野16分野11分野
求められる技能水準相当程度の知識または経験を必要とする技能熟練した技能
外国人支援必須不要
永住権の取得不可要件を満たせば可能
家族の帯同不可条件により可能
日本語能力試験ありなし

特定技能1号の求められる技能水準にある「相当程度の知識または経験を必要とする技能」とは、特別な知識がなくともできる一定レベルの業務を指します。

対して、特定技能2号の「熟練した技能」では、従業員の指導や現場の監督など、管理者としての業務ができるレベルの業務を指しています。

また、特定技能2号を取得することで日本への永住権取得の要件を満たせるようにもなります。

特定技能2号は2023年より分野が拡大

2019年に特定技能制度が導入された当時は、特定技能2号の対象分野は「建設」「造船・舶用工業」の2分野のみでしたが、2023年6月に9分野が新たに追加され、全11分野となりました。

  1. ビルクリーニング
  2. 工業製品製造業
  3. 建設
  4. 造船・舶用工業
  5. 自動車整備
  6. 航空
  7. 宿泊
  8. 農業
  9. 漁業
  10. 飲食料品製造業
  11. 外食業

また、上記に加え、「造船・舶用工業」のうち溶接区分以外の業務区分がすべて特定技能2号の対象となっています。

在留資格「介護」がすでに存在するため、特定技能2号に介護分野は含まれていません。「介護」の在留資格を取得した外国人労働者は、在留期間の上限なく日本で働くことができます。

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特定技能外国人を無期雇用するメリット

特定技能外国人を無期雇用することで、受け入れ側の企業としては次のようなメリットがあります。

雇用が安定する

特定技能外国人の在留期間に制限がなくなることで、長期的な雇用ができるようになります。

人材の入れ替わりがなくなり雇用が安定すると、職場環境の安定につながることはもちろん、採用コストの削減にもなるため、企業の大きなメリットになります。

育成コストを抑えることができる

特定技能1号の在留期間は最大5年間です。幅広く業務を教え仕事ができるようになったとしても、5年後に退職してしまうことが決まっているとなると次の人材を育成しなければならず、その度に育成コストがかかります。

一方、無期雇用が可能な特定技能2号の場合は、その人が望む限り長く働いてもらうことができるため、育成コストを抑えることができます。

人材不足の根本解決につながる

永住権取得の要件に、10年以上日本に在留するというものがあります。特定技能2号を取得すれば、在留期間に制限がなくなることで永住権の取得がしやすくなります。

日本に永住する外国人が増えるということは日本の人口が増えるということになるため、現在日本の課題となっている人材不足の根本解決につながります。

特定技能外国人の無期雇用には懸念点も

特定技能外国人を無期雇用できることにはメリットが多い一方で、国として懸念すべき点もいくつかあります。

介護分野の人手不足

介護分野には「介護」という在留資格が特定技能とは別で存在します。「介護」は介護人材の不足を解消するために設けられ、5年以上の就労と10年以上の日本滞在で永住権を得ることができる在留資格でもあります。

しかし、特定技能2号の取得でも永住権を取得できるようになったことで、外国人労働者にとっては分野の選択肢が増えました。

人材不足を解消するために永住権や家族の帯同が認められたのが「介護」であったのにも関わらず、特定技能2号も同様の条件となっていることで、介護分野の人手不足が解消されない懸念が発生しています。

人数制限がかかる可能性がある

現在、特定技能1号・2号ともに一部の分野を除いて人数の上限などは設けられていません。しかしこの先外国人の受け入れが増え続けると上限がかかる可能性は大いにあります。

特定技能外国人の受け入れには目標人数が設定されており、この目標人数は実質的に上限人数とされているという声があります。

特定技能制度の創設である2019年からの5年間での目標は約34.5万人とされており、実際には約22.4万人となりました。目標を下回っているように見えますが、その増加率は以下のように右肩上がりです。

出典:出入国在留管理庁『特定技能制度運用状況(令和6年12月末)』

2024年からの5年間の目標は、倍以上の82万人と新たに設定されましたが、これまで通りに人数が増加すれば、目標を上回る可能性は大いにあるといえるでしょう。

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特定技能外国人の雇用サポートなら『アイデムグローバル』

特定技能外国人を雇用する場合、在留資格の申請が必要になったり雇用契約を結ぶ際に母国語での説明が必要になる場合があったりと、煩雑な手続きが多くなります。

中でも特定技能1号の外国人の雇用では、どのように特定技能外国人を支援していくかの計画を策定する必要があるため、外国人雇用に慣れていない企業はスムーズに進めることが難しいでしょう。

そのような場合におすすめなのが、「登録支援機関」と呼ばれる特定技能外国人の雇用を支援する機関に委託をすることです。

アイデムグローバルでは、豊富な支援実績をもとに、外国人人材の紹介から雇用までを一貫してサポートします。ベトナム語・ミャンマー語・英語・韓国語・カンボジア語・インドネシア語の6ヵ国語に対応しているため、人材にも企業にも寄り添った支援が実現可能です。

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まとめ

特定技能外国人は特定技能1号から2号へ移行することで、無期雇用が可能になるということがわかりました。

特定技能1号よりも担当できる業務の範囲が広い特定技能2号が永続的に就労できるメリットは多く、雇用の安定や育成コストの削減、在留資格の申請業務の省略などが挙げられます。

一方で、在留資格「介護」を取得する外国人が減る懸念や、今後特定技能外国人が増加し上限が設けられる懸念があるといった国としてのデメリットについても念頭に入れておくとよいでしょう。