外国人労働者の種類

外国人を雇用するにあたり、在留資格やビザの分類が難しいという方も少なくないのではないでしょうか。在留資格には制限なく就労できるものや決められた範囲でのみ就労が可能なもの、就労できないものなどさまざまな種類があるため、外国人雇用を進めるのであれば必ず理解しておかなければなりません。

この記事では、外国人労働者の種類について解説します。在留資格やビザの分類、外国人を雇用する際の流れや注意点についてまとめました。

外国人労働者は4つの種類に分けられる

外国人労働者は、大きく次の4つの種類に分けることができます。

  • 技能実習生
  • 特定技能外国人
  • 高度外国人材
  • 留学生アルバイト

技能実習生

技能実習生とは、日本の特定の産業において技術や技能を身につけるために働く外国人のことを指します。身につけた日本の技術や技能を母国で生かす目的で実施されている制度で、最長5年間、日本に在留することが可能です。

本人の希望があれば、次で説明する「特定技能外国人」として、5年を超えたあとも日本で働くことができます。

特定技能外国人

特定技能外国人とは、少子高齢化によって不足している労働人材を解消することを目的に、特定の産業で受け入れられる外国人労働者のことを指します。

特定技能外国人として働くことができる分野は全部で16分野あり、分野ごとの試験と日本語試験に合格する必要があります。

また、特定技能には1号と2号があり、1号では最長5年間、日本に在留することができます。2号の場合は上限なく日本への在留が可能です。

関連記事▶︎特定技能外国人を雇用する流れと費用、必要な手続きについて

高度外国人材

高度外国人材とは、専門的な技術力や知識を持った外国人労働者のことを指し、具体的には以下のように分類されます。

  • 高度専門職1号(イ):研究者、または研究の指導・教育者
  • 高度専門職1号(ロ):自然科学、人文科学に関する知識や技術を要する従事者
  • 高度専門職1号(ハ):貿易や事業の経営や管理の従事者
  • 高度専門職2号:高度専門職1号の取得者で「高度人材ポイント制」で一定点数を満たした者

1号の在留期間は最長5年間、2号では無期限となります。

留学生アルバイト

留学生アルバイトとは、「資格外活動」の許可を得て働く外国人のアルバイトのことを指します。留学生は本来就労が許可されていませんが、地方出入国在留管理局から許可を得ることで、週28時間以内という条件のもとでアルバイトが可能になります。

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外国人労働者の在留資格の種類

外国人労働者は、在留資格ごとにも次のように種類分けすることができます。

  • 制限なく就労可能な在留資格(身分に基づく在留資格)
  • 決められた範囲内で就労可能な在留資格
  • 就労ができない在留資格
  • その他の在留資格(特定活動)

制限なく就労可能な在留資格(身分に基づく在留資格)

日本人と同様、就労活動に制限がない在留資格には次の4つがあります。

在留資格概要
永住者無期限で日本に滞在できる外国人
永住者の配偶者等永住者の配偶者や実子
日本人の配偶者等日本人の配偶者や実子、特別養子
定住者特定の事情が考慮され、一定期間の居住が認められた外国人

これらの在留資格は自由に転職も可能です。

決められた範囲内で就労可能な在留資格

決められた範囲の中でのみ就労が可能な在留資格には、次の18種類があります。

在留資格該当例在留期間
外交外国政府の大使、公使、総領事、代表団構成員等及びその家族 外交活動の期間外交活動の期間
公用外国政府の大使館・領事館の職員、国際機関等から公の用務で派遣される者等及びその家族5年、3年、1年、3ヵ月、30日、15日
教授大学教授等5年、3年、1年または3ヵ月
芸術作曲家、画家、著述家等
宗教外国の宗教団体から派遣される宣教師等
報道外国の報道機関の記者、カメラマン
高度専門職就労資格の決定の対象となる範囲の外国人で、学歴・職歴・年収等の項目ごとにポイントを付け、その合計が一定点数(70点)以上に達した者1号:5年2号:無期限
経営・管理企業等の経営者・管理者5年、3年、1年、4ヵ月または3ヵ月
法律・会計業務弁護士、公認会計士等5年、3年、1年または3ヵ月
医療医師、歯科医師、看護師
研究政府関係機関や私企業等の研究者
教育中学校・高等学校等の語学教師等
技術・人文知識・国際業務機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等
企業内転勤外国の事業所からの転勤者
介護介護福祉士
興行俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手等3年、1年、6ヵ月、3ヵ月または15日
技能外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属等の加工職人等5年、3年、1年または3ヵ月
特定技能特定産業分野の各業務従事者16種類1号:1年、6ヵ月または4ヵ月(通算上限5年)2号:3年、1年、6ヵ月
技能実習技能実習生6種類1年、6ヵ月または法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲)

参照:専門的・技術的分野の外国人材受入れについて

これらの在留資格は「専門的・技術的分野の在留資格」とまとめて称されます。

技能実習の在留資格の分類

技能実習の在留資格は、次の3つに分類されます。

分類概要在留期間
技能実習1号入国1年目に取得できる最初に2ヵ月の入国後講習が必要1年
技能実習2号所定の実技試験と学科試験に合格することで取得できる2年
技能実習3号所定の実技試験に合格し、受け入れ企業や管理団体から優良だと認められた場合い取得できる2年

1年目以降、長く日本に滞在したい場合は試験に合格することで最長5年まで在留期間を延長することが可能です。

特定技能の在留資格の分類

特定技能の在留資格は、1号と2号に分かれており、さらに以下の16分野に細かく分類されています。それぞれ取得した分野でのみ就労が可能となり、その他の業種では働くことはできません。

  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. 工業製品製造業
  4. 建設
  5. 造船・舶用工業
  6. 自動車整備
  7. 航空
  8. 宿泊
  9. 自動車運送業
  10. 鉄道
  11. 農業
  12. 漁業
  13. 飲食料品製造業
  14. 外食業
  15. 林業
  16. 木材産業

このうち11種類で、上限なく日本に在留できる特定技能2号の取得を目指すことができます。

就労ができない在留資格

在留資格の中には、就労が認められないものもあります。以下の5つは、在留資格に含まれていない収益活動をおこなうことはできません。

在留資格概要
文化活動収入を伴わない学術や芸術場の活動をおこなうための在留資格
短期滞在観光やスポーツを目的とする在留資格
留学高校や大学などで教育を受けることを目的とする在留資格
研修日本の公的・民間機関によりおこなわれる研修に参加することを目的とする在留資格
家族滞在在留資格を持つ外国人労働者の配偶者または子が対象となる在留資格

ただし、上記に当てはまる在留資格の所有者でも、出入国在留管理庁から「資格外活動」の許可を得ればアルバイトとして働くことが可能になります。この際、「1週間あたり28時間以内の労働であること」「風俗営業等の従事を除くこと」などが条件とされます。

その他の在留資格(特定活動)

その他の在留資格として、「特定活動」という在留資格が存在します。

特定活動とは、今ある在留資格のどれにも当てはまらない活動で日本に滞在する外国人に与えられる在留資格です。

近年の例としては「新型コロナウイルス感染拡大による帰国困難者」のために特定活動の在留資格が与えられ、6ヵ月間の滞在が認められました。このほか、就労制限のない「ワーキングホリデー」や外国人大学生が対象となる「インターンシップ」も特定活動での日本滞在となります。

外国人労働者のビザの種類

在留資格は「日本への在留と活動を認めるための資格」であるのに対し、ビザは「入国を申請するための許可証」であるため、日本に滞在するためにはどちらの取得も必要です。

就労を目的に日本に来る外国人は、次の4つのビザのいずれかを取得し、入国する必要があります。

  • 外交査証
  • 公用査証
  • 就業査証
  • 一般査証

一般的に「就労ビザ」と呼ばれるビザは、就労査証が当てはまります。また、一般査証は留学や研修が含まれるほか、技能実習も含まれるため就労に関係するビザの一つに分類できます。

ビザと在留資格の分類

日本への入国に必要なビザと、滞在に必要な在留資格の分類は次の通りです。

ビザの区分在留資格
外交査証外交
公用査証公用
就労査証教授芸術宗教報道高度専門職1号・2号経営・管理法律・会計業務医療研究教育技術・人文知識・国際業務企業内転勤興行技能特定技能1号・2号
一般査証技能実習1号・2号・3号文化活動留学研修家族滞在
短期滞在査証短期滞在
通過査証
特定査証日本人の配偶者等永住者の配偶者等定住者
医療滞在査証特定活動
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外国人労働者数の現状は?

少子高齢化により国内人材が不足している近年、外国人労働者数は増加傾向にあります。

上記は、厚生労働省『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)』のデータです。2024年には過去最高人数を突破しており、その人数は230万人を超えています。

少子高齢化はすぐに解決できる問題ではないことや物価の影響から、この先もしばらく外国人労働者は増加していくことが考えられるでしょう。

外国人を雇用する際の流れや注意点

実際に外国人を雇用する際は、次のような流れで進めていきます。

1. 外国人雇用の条件について確認
2. 雇用契約を締結
3. 入社後に各種届出などの手続き

この際注意したいのは、外国人の在留カードの内容についてです在留カードの有効期限が切れていたり、就労不可の記載があったりするのに気付かずに雇用してしまうと、不法労働になってしまうため、必ず確認しましょう。

また、外国人にも日本人と同様に「同一労働同一賃金制度」や「最低賃金法」が適用されるため、雇用契約の締結の際にはこれらを遵守しましょう。

関連記事▶︎外国人を雇用するには?流れや確認事項、メリット・デメリットなどを徹底解説
関連記事▶︎外国人労働者の最低賃金は?注意したい点や平均賃金、税金との関係を解説

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まとめ

外国人労働者は、在留資格やビザの種類によって就労できる範囲や日本に在留できる期間が異なります。

許可されている範囲を超えた労働や、期間を超えた在留は違法となるため、雇用する企業側として、しっかりと理解しておきましょう。