在留資格認定証明書は、日本で中長期的に活動を予定する外国人が円滑に入国するために必要となる重要な書類です。海外在住の外国人がビザ(査証)を取得する際、事前に日本の入国管理局が活動内容や在留資格を審査・認定します。

この記事では、この証明書の役割やメリット、申請方法、注意点まで詳しく解説します。

日本の介護業界における人材不足の現状とは?

介護業界の人材不足は、極めて深刻な局面にあります。厚生労働省の推計によれば、2040年には約69万人もの介護人材が不足するとされており、これは業界全体の存続にも関わる危機的な数字です。

人手不足はすでに全国の現場で顕在化しており、採用難やサービス提供の制限といった影響が広がっています。この深刻な背景を正しく理解することが、外国人雇用を含む抜本的な人材確保策を検討する第一歩となります。

深刻化する高齢化と介護サービス需要の拡大

日本の高齢化率は2024年時点で29.1%と、世界でも突出しています。さらに、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2070年には高齢化率が39.0%に達する見込みです。加えて、2040年には介護職員の必要数が約272万人に達すると見込まれており、介護サービスの需要は今後さらに拡大していきます。

団塊の世代が75歳以上となる2025年以降、要介護認定者は急増すると見込まれており、介護施設や在宅介護サービスでは待機者が長期間発生する地域もあります。これに伴い、現場の負担は増し、慢性的な人手不足が続いています。

介護現場で慢性化する人材不足の実態

介護現場における最大の課題は、人材不足です。厚生労働省の見通しでは、2026年度には約240万人、2040年度には約272万人の介護職員が必要とされています。

一方で、介護職の有効求人倍率は2023年度で3.8倍と、全職種平均(1.3倍)を大きく上回っており、需給ギャップは拡大傾向にあります。さらに、介護職は離職率が高いことでも知られており、特に入職3年以内の離職率は約35%にのぼります。

離職の主な理由には、身体的・精神的な負担の大きさ、賃金水準の低さ、キャリアパスの不透明さ、人間関係のストレスなどが挙げられます。こうした環境が、人材の定着を妨げ、サービスの質や利用者満足度の低下につながっています。

人材確保に向けた施策と外国人雇用の必要性

政府や自治体は、処遇改善加算やキャリアアップ制度の導入に加え、介護ロボットの導入支援、ICT活用による業務効率化、介護職への就労支援金制度など、多様な施策を実施しています。

しかしながら、これらの施策だけでは急増する需要に追いつかず、国内人材のみで不足を補うのは限界があります。そこで注目されているのが「外国人介護人材」の積極的な活用です。

特定技能制度を活用することで、意欲が高く、長期就労を希望する外国人を受け入れることが可能となり、持続的な人材確保に大きく貢献すると期待されています。

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「特定技能」とは?制度の概要と背景

特定技能制度は、深刻な人手不足に対応するため2019年に創設された在留資格制度です。現在は16分野が対象となっており、その中に介護分野も含まれています。これにより、即戦力となる外国人を受け入れる道が開かれました。

特定技能制度の概要

特定技能は、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が日本で就労できる在留資格です。

対象分野は介護をはじめ、外食業、建設、農業、ビルクリーニング、工業製品製造業、自動車整備、航空、宿泊、漁業、飲食料品製造業、外食業、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業、造船・舶用工業の16分野にわたります。

関連記事▶︎特定技能とは?制度の概要や1号・2号の違い、対象分野について

介護分野の場合、利用者に対する身体介護や生活援助、機能訓練の補助といった直接的なケア業務が含まれており、即戦力としての活躍が強く期待されています。

在留資格「特定技能1号」と「特定技能2号」

特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。

項目特定技能1号特定技能2号
在留期間最長5年(1年ごと更新)制限なし(更新可能)
家族帯同原則不可可能
対象分野介護を含む16分野一部の分野(介護は対象外)
必要な試験・条件日本語能力試験(N4以上)+各分野の技能試験熟練した技能の証明が必要
備考比較的短期間で就労可能永住に近い在留資格とされる

ただし、2025年現在、介護分野は「特定技能2号」の対象外となっており、外国人介護職員は特定技能1号での在留に限られます。

介護分野における「特定技能」の対象業務

介護分野では、身体介護(食事・入浴・排泄など)、生活援助(掃除・洗濯・買い物支援)、機能訓練補助、レクリエーションの実施、記録業務の補助など、幅広い業務を担うことができます。

単なる補助業務ではなく、利用者に直接触れるケアを中心に、介護職員としての役割を果たします。また、2023年には制度改正により、特定技能1号での「訪問系サービス(訪問介護)」への従事も条件付きで解禁されました

これにより、特定技能外国人がより柔軟かつ多様な現場で活躍できる道が広がっています。

他の在留資格(技能実習・介護福祉士)との比較

外国人が日本の介護分野で働くために活用されている在留資格には、特定技能「介護」以外に3種類あります。

それぞれ制度の目的や在留条件、就労可能な内容が異なるため、特徴を理解したうえで活用することが重要です。

技能実習「介護」

開発途上国への技能移転を目的とした制度で、最長5年の在留が可能です。原則として家族の帯同は認められておらず、受け入れ先を自由に変更できないなどの制限があります。

就労に近い形での経験は得られますが、制度の本質が「人材育成」にあるため、労働力としての即戦力活用や長期雇用には限界があります。

対して特定技能「介護」は、初めから就労を目的としており、より柔軟かつ実務的な受け入れが可能です。

関連記事▶︎技能実習生とは?制度の目的や概要受け入れ方法を解説

介護福祉士

介護業界での国家資格であり、日本人と同等の待遇で長期就労が可能になります。外国人が介護福祉士を取得するには、日本国内で3年以上の実務経験を積んだうえで、日本語能力試験N2レベル以上の語学力を有し、国家試験に合格する必要があります

資格取得後は在留期間の制限がなくなり、家族の帯同も認められるため、将来的な定着が期待できます。

特定技能「介護」と比べると取得難易度は高いものの、長期的安定性は高い資格です。

特定活動EPA

インドネシア、フィリピン、ベトナムとの経済連携協定に基づく制度で、外国人が介護福祉士の国家資格取得を目指して来日し、一定期間研修・実務を経て試験に合格すれば継続就労が可能となる仕組みです。

試験に不合格となった場合は帰国しなければならず、在留には明確な期限が設けられています。

特定技能「介護」と比べて制度運用が複雑で、国別協定に基づくため利用できる対象者が限られる点に特徴があります。

特定技能「介護」で働く外国人の雇用要件

雇用するためには、受け入れ機関と外国人双方が一定の条件を満たす必要があります。制度の理解と事前準備が不可欠です。

受け入れ機関(雇用主)が満たすべき条件

  • 法令遵守(労働基準法・最低賃金法など)
  • 社会保険への加入
  • 労働時間や報酬は日本人と同等以上の条件を確保すること
  • 介護分野の特定技能協議会に加入していること
  • 外国人の生活支援体制(日本語学習支援・生活相談、行政手続きの補助、地域交流の促進など)
  • 雇用後の定期的な面談や職場環境の確認など、就業継続に向けた支援体制を整備すること
  • 過去5年間に不正行為がないこと

上記のように、外国人を特定技能「介護」として受け入れる事業者には、数多くの条件が課されています。特に重要なのは、日本人と同等の待遇を保証すること、適正な労働環境を整えること、そして外国人が安心して生活・就労できるよう生活支援を含めた受け入れ体制を構築することです。

また、介護分野で受け入れを行う場合は、必ず特定技能協議会への加入が義務付けられており、法令に基づいた運用が求められます。

これらの条件を満たすことで、外国人職員の定着率を高め、介護現場の安定的な運営につなげることが可能となります。

関連記事▶︎外国人労働者の雇用で企業が守るべき法律とは?

外国人側に求められる基準

  • 日本語能力試験(JLPT)N4以上
  • 介護技能評価試験に合格
  • 健康状態が良好であること
  • 18歳以上であること

上記の条件は、外国人が特定技能「介護」として日本で就労するために満たすべき基本的な要件です。

特に日本語能力は、日常会話だけでなく介護現場での指示理解や利用者との円滑なコミュニケーションに欠かせません。介護技能評価試験では、実務に即した知識とスキルが求められます。

また、身体的・精神的に健康であることが長期的な就労において重要とされ、18歳以上であることも法的な労働資格の基準として設けられています

受け入れ人数枠の目安

特定技能の介護分野において、事業所単位で日本人等の常勤介護職員数を上限として、特定技能外国人を受け入れることが求められています。

特定技能外国人の雇用においては、他業種では企業ごとの受け入れ人数に明確な制限は設けられていませんが、介護分野においては例外です。

ここでいう「日本人等」とは、日本人のほか、以下の在留資格を有する外国人を含みます。

  • 介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士
  • 在留資格「介護」により在留している外国人
  • 永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者、定住者など、身分・地位に基づく在留資格を有する外国人

なお、技能実習生、EPA介護福祉士候補者、留学生はこの「日本人等」には含まれないため、上限の対象にはなりません

こうした制限を設けることで、受け入れ体制の適正さや、外国人介護職員への指導・支援体制の質を担保することが目的とされています。

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外国人介護人材を受け入れるメリット

外国人雇用は単なる人手不足解消だけでなく、職場全体に多くのプラス効果をもたらします。

慢性的な人手不足の解消

外国人介護人材は長期就労が可能であり、現場の即戦力としてスムーズに配置できる点が大きなメリットです。特に夜勤や土日勤務など、柔軟なシフト対応が可能な人材も多く、既存職員の負担軽減にもつながります。

これにより、過重労働によるストレスや疲弊を防ぐことができ、結果として職場全体の離職率の低下や定着率の向上にも貢献します。また、定期的な戦力確保が見込まれることで、長期的な人員計画の安定化にも寄与します。

意欲ある人材を獲得しやすい

特定技能試験を突破した外国人は、高いモチベーションと明確な目的意識を持っており、自らの成長やキャリアアップを意識して業務に取り組む傾向があります。

そのような人材は、職場での責任感が強く、指示待ちではなく主体的に動けるケースも多いため、介護の質やチームの生産性向上に大きく貢献します。

また、日本人職員にとっても、その姿勢が刺激となり、全体の意識改革や教育風土の活性化につながる好循環が生まれることもあります。

職場の活性化につながる

多様なバックグラウンドを持つ人材が加わることで、職員同士のコミュニケーションが活発化します。

新しい介護技術や文化的視点が現場に取り入れられることで、サービスの幅や柔軟性も向上します。また、異なる価値観や行動様式に触れることで、職員や利用者の異文化理解が進み、互いに多様性を受け入れる土壌が育まれます。

これにより、現場全体の国際感覚が自然と高まり、将来的には国籍を問わない人材活用やサービス展開にもつながる可能性があります。

多様性への理解が深まる

利用者や家族にとっても、多国籍な職員と接することで異文化理解が進みます。日常的に異なる文化や価値観に触れることで、利用者や職員の国際感覚が自然と養われていくのも大きな利点です。

グローバルな視野を持つ介護施設は、地域からの信頼も高まりやすくなるでしょう。

外国人介護人材を雇用する際の注意点

外国人介護人材の受け入れには、いくつかの重要な課題があります。

まず、言語や文化の壁への対応が欠かせません。日本語能力試験N4以上が要件ですが、現場では方言や専門用語も多く、継続的な日本語教育や多言語マニュアルが役立ちます。また、宗教や食文化などへの配慮も必要で、相互理解を促す環境づくりが求められます。

次に、労働管理や教育体制の整備も不可欠です。OJTや段階的な育成、メンター制度の導入により、外国人がスムーズに業務に慣れるよう支援する体制が必要です。さらに、不当な扱いを防ぐための相談窓口の設置も重要です。

加えて、入国や在留の手続きは煩雑であり、ビザ申請や各種書類の整備など、事務処理の正確さと最新制度への理解が求められます

このように、外国人材の受け入れには多方面での準備と継続的な対応が欠かせません。

関連記事▶︎外国人を雇用するには?流れや確認事項、メリット・デメリットなどを徹底解説
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まとめ:外国人採用を成功させるためには

特定技能制度は、介護業界の人手不足解消に大きく貢献する可能性があります。

しかし、単に人員を補うのではなく、職員間の信頼関係づくりや長期的な定着支援が欠かせません。制度を正しく理解し、双方にとって働きやすい環境を整えることが、採用成功のカギとなります。

アイデムグローバルでは、外国人材の採用・生活支援まで一貫してサポートしています。3,800名以上の支援実績を持ち、各国の制度や文化に精通したスタッフが対応します。初めて外国人労働者を受け入れる企業も、安心して制度運用を始められます。

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