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現在、日本の自動車整備業界では、少子高齢化や若者の車離れを背景とした慢性的な人手不足が深刻な課題となっています。この課題を根本から解消するための切り札として、今大きな注目を集めているのが特定技能制度です。
本記事では、自動車整備分野における特定技能制度の概要から、令和6年に開始された2号の受入れ、採用のメリット、具体的な手続きまでをわかりやすく解説します。
自動車整備分野における特定技能制度の概要
特定技能制度は、国内の人材確保が困難な産業分野において、一定の専門性や技能を持つ外国人材を受け入れるための在留資格です。自動車整備分野はその対象の一つとして、平成31年4月の制度開始当初から設定されています。
自動車整備分野の特定技能制度創設の背景と目的
自動車整備業界では、若者の車離れや少子高齢化による整備士不足が深刻です。車両台数が高水準で推移し、自動運転や電気自動車など技術の高度化が進む一方、整備士の求人倍率は極めて高く、安全運行を支える基盤が揺らいでいます。
こうした状況下、即戦力の外国人材を確保し、業界の発展と交通安全を維持するために創設されたのが特定技能制度です。試験をクリアした外国人が整備工場で直接雇用され、日本人と同等の立場で活躍することが可能となりました。
令和6年より開始された特定技能2号の受入れ
自動車整備分野では、これまで特定技能1号のみの運用でしたが、令和6年7月より、熟練した技能を持つ人材を対象とした特定技能2号の受入れが正式に開始されました。
特定技能1号と2号の主な違いは以下の通りです。
| 比較項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
| 在留期間 | 通算5年まで | 無制限(長期就労が可能) |
| 技能レベル | 試験または技能実習2号修了相当 | 試験による確認(熟練した技能) |
| 家族の帯同 | 基本的に認められない | 条件を満たせば配偶者・子の帯同が可能 |
| 永住許可 | 永住申請の要件期間に含まれない | 永住申請の要件期間に含まれる |
特定技能2号は、1号での実務経験を経て、より高度な技能を測定する特定技能2号評価試験に合格した者が取得できる資格です。家族の帯同が認められるため、日本での生活基盤を安定させることができ、将来的な永住許可申請への道も開かれます。
現在は国内での試験体制整備が先行していますが、フィリピンやベトナムなどの主要送り出し国でも順次実施される見通しです。
国内外での試験実施により、海外からの直接呼び寄せだけでなく国内人材の継続雇用も容易になり、熟練工を長期的に確保できる大きな転換点となりました。

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外国人労働者の採用・特定技能のご相談はこちらよりお問い合わせください。アイデムグローバルは行政機関との協力実績も多数。大手企業様~中堅・中小企業様まで年間約11万5,000社とのお取引があります。さらに、登録支援機関としての支援体制に加え、人材紹介から入社後の定着サポートまでを一体型で提供しております。
特定技能外国人が従事できる業務内容
特定技能外国人が自動車整備分野で従事できる業務は、道路運送車両法に基づく整備業務全般にわたります。具体的には下記の通りです。
日常・定期点検整備
日常点検および定期点検整備に従事できます。オイル交換、タイヤの摩耗チェック、ブレーキパッドの確認、バッテリー液の補充など、車両のコンディションを維持し、故障を未然に防ぐための重要な作業が含まれます。
特定整備(電子制御装置整備を含む現行の区分)
令和2年の法改正により、従来の分解整備の範囲が拡大され、自動ブレーキなどのセンサー調整を含む特定整備という概念が導入されました。
特定技能外国人は、この特定整備に該当する高度な作業にも従事可能です。エンジンや変速機の脱着修理、足回り装置の整備に加え、カメラやレーダーの校正(エーミング)などの電子制御装置の整備も対象となります。
特定整備に付随する基本的な業務
主目的である整備業務以外にも、それに付随する一連の業務を行うことができます。具体的には、部品の取り出し、洗車、車内清掃、ピットの整理整頓、工具の管理などが挙げられます。
ただし、あくまで整備業務を主軸とすることが求められており、洗車のみや回送のみといった、整備を伴わない専従作業は認められていません。
外国人が自動車整備分野の特定技能を取得するための要件
特定技能を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。
自動車整備特定技能評価試験に合格
一般社団法人日本自動車整備振興会連合会(JASPA)が実施する自動車整備特定技能評価試験に合格、または日本の自動車整備士技能検定試験(3級以上)に合格で、一定の技能があることを証明します。
一定以上の日本語能力の保有
国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験N4以上の合格が必須条件です。
自動車整備職種の技能実習2号を良好に修了
3年間の技能実習2号を良好に終えた実習生は、技能試験と日本語試験が免除され、無試験で特定技能1号へ移行できます。

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企業が特定技能外国人を受け入れるための条件
受入れ企業側にも、一定の基準と義務が課せられています。
認証工場または指定工場であること
受入れ企業は、地方運輸局長から認証を受けた自動車分解整備事業者(認証工場)または指定自動車整備事業者(指定工場)でなければなりません。適切な設備と管理体制が整っていることが、外国人材を受け入れる前提条件となります。
自動車整備分野特定技能協議会への入会手続き
特定技能外国人を受け入れる企業は、国土交通省が設置する自動車整備分野特定技能協議会への入会が義務付けられています。2024年6月の制度改正により、入会のタイミングが受け入れ後から申請前へと変更されました。
現在は、出入国在留管理庁へ在留資格の申請を行う際に、協議会の入会証明書の写しを提出する必要があります。手続きの順番を誤ると、在留資格が許可されないリスクがあるため、採用活動と並行して早期に登録準備を進めることが重要です。
日本人と同等以上の給与水準と適正な雇用契約
外国人であることを理由とした不当な差別は厳禁です。賃金は、同等の業務に従事する日本人労働者と比較して同等以上の額を支払う必要があります。
また、一時帰国のための休暇取得の配慮や社会保険・労働保険の加入など、適正な雇用契約の締結が求められます。
支援計画の実施を登録支援機関へ委託
特定技能1号を受け入れる場合、企業は外国人労働者の公私にわたる支援義務を負います。具体的には、事前ガイダンスの実施、入国時の送迎、住居確保の支援、日本語学習のサポート、苦情・相談への対応など多岐にわたります。提示された支援を自社で完結させるのが難しい場合、登録支援機関への委託が一般的です。
自動車整備分野で特定技能を採用する3つのメリット
特定技能制度の活用で、企業には以下のようなメリットがあります。
技能と日本語能力を兼ね備えた即戦力を確保できる
特定技能外国人は、すでに一定の技能試験に合格しているか、3年間の実習経験を積んでいます。そのため、入社直後から基本的な整備作業を任せられる即戦力となり、教育にかかる時間やコストを大幅に削減できます。
また、日本語能力も一定水準以上あるため、現場での意思疎通も比較的スムーズです。
特定技能2号への移行により中長期的な活躍が期待できる
令和6年からの特定技能2号開始により、優秀な人材が長く働ける環境が整いました。従来の技能実習制度や特定技能1号では帰国を余儀なくされる時期がありましたが、2号へ移行すれば、将来の幹部候補として育成し、現場のリーダーや中核メンバーとして定着させることが可能です。
熟練技能士の不足に悩む企業にとって、これは極めて大きなメリットと言えます。
若手人材の入社により職場活性化が図れる
意欲の高い外国人材が加わることで、職場全体に良い刺激が生まれます。教える側の日本人社員にとって、作業手順の再確認やマニュアルの見直しにつながり、組織としての教育体制が強化されます。
また、若い労働力の参入は、ベテラン整備士が持つ熟練の技術やノウハウを次世代に継承する絶好の機会となります。活気のある人材が増えることで、工場の雰囲気そのものが明るくなる相乗効果も期待できます。

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採用から入社までの流れと期間の目安
採用プロセス開始から入社までは、国内での切り替えで4〜6ヵ月程度、海外からの呼び寄せで6ヵ月〜1年程度を見込むのが現実的です。
募集と面接の実施
求人票を作成し、海外または国内の候補者を募ります。面接では技能に加え、本人の意欲やコミュニケーション能力を重点的に確認します。
雇用契約の締結
内定後、日本人と同等以上の給与条件で書面契約を締結します。日本人との待遇格差の禁止や一時帰国休暇の付与など法令で定められている外国人雇用特有のルールを守ることが必須です。
支援計画の策定と登録支援機関との連携
特定技能1号を受け入れる際に必要な生活支援計画を作成します。自社での実施が困難な場合は、専門の登録支援機関へ事務手続きを委託します。
在留資格の申請または切り替え手続き
入管へ書類を提出し、審査を受けます。在留資格認定証明書交付申請、または在留資格変更許可申請に必要な書類を不備なく揃えることが重要です。
入社・就業開始
許可後、入社日を決定します。海外からの場合は来日後の送迎や住民登録、口座開設など、生活基盤の立ち上げをサポートしつつ業務を開始します。
まとめ
自動車整備分野の特定技能制度は、2号制度の拡充により、即戦力の補填から次世代の幹部候補や中核人材の確保へとその役割を変えています。
認証工場の維持や適正な支援の実施など、法令遵守が強く求められますが、それ以上に、将来の経営基盤を支える熟練工や幹部候補を育成できるメリットは計り知れません。この制度を正しく理解し活用することが、次世代の自動車整備業界で生き残るための鍵となるでしょう。
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