特定技能外国人を雇用する流れと費用、必要な手続きについて

人材不足を解消するべく、特定技能外国人の雇用を検討する企業が増えています。また同時に、日本で働きたいと考える外国人からも、特定技能という在留資格は注目を集めています。

この記事では、特定技能外国人を雇用するまでの流れについて、わかりやすく解説します。また、特定技能外国人の雇用にかかる費用や、人材募集の方法などについてもまとめました。

特定技能とは?

「特定技能」制度は、国内で人材が特に不足している分野において、一定の技能を持つ外国人を受け入れて人材不足を補うことを目的とした制度です。

2019年4月に創設された当時は12分野でしたが、2024年3月29日に新たな4分野が追加されることが決定しました。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造業
  • 建設
  • 造船、舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 自動車運送業
  • 鉄道
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業

    <以下2024年に追加が決定>

  • 自動車運送業
  • 林業
  • 木材産業

特定技能外国人は、単純労働にも従事できます。これまで単純労働が可能であるのは永住者などだけであったため、人材確保に大きな一歩を踏み出せるきっかけとなりました。

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特定技能外国人を雇用するまでの流れ

特定技能外国人を雇用するまでの流れは、大きく分けて次の6つのステップに分けることができます。

1. 受け入れ条件の確認
2. 人材募集・採用活動
3. 雇用契約の締結
4. 支援計画の策定
5. 在留資格の申請
6. 就労開始

特定技能外国人が実際に業務に就くまでの期間は、4〜6か月程度が一般的です。

受け入れ条件の確認

特定技能外国人を雇用するにあたって、まずは自社が特定技能の受け入れ要件を満たしている必要があります。

  • 雇用を予定している事業所(実際に配属され業務をおこなう場所)が16分野のどれかに分類されているか

  • 分類された分野の業務内容に、予定している業務が該当しているか

上記の2つを確認しましょう。また、受け入れ可能かどうかの条件として、下記の要件も満たしている必要があります。

  • 保険料や税金をきちんと納めている

  • 直近でリストラや理由のない解雇をしていない

  • 過去1年以内に特定技能人材を解雇者・失踪者させていない

  • 労働関係法令を遵守している

人材募集・採用活動

特定技能の要件が満たされていることが確認できたら、人材の募集に移っていきます。基本的には、求人サイトや人材紹介会社を介して人材募集をおこなうのが一般的です。

採用の要件として、自社の分野に沿った特定技能評価試験と日本語能力試験で一定以上の成績を修めているかどうかを必ず確認する必要があります。

雇用契約の締結

雇用する特定技能人材を決めたら、雇用契約を締結します。特定技能の在留資格を申請する場合は雇用契約書が必要になるため、先に雇用契約を結ぶことになります。

雇用契約の内容には『特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令の一部を改正する省令(令和六年法務省令第四十二号)』に基づき、給与は日本人労働者と同等以上である、所定労働時間は通常の労働者と同じである、などを含めなければなりません。

また、雇用契約書は内定者が理解できるよう、日本語と母国語の両方で用意しましょう。

支援計画の策定

特定技能外国人を雇用する場合、業務以外に、日本での生活をサポートするために「支援計画」と呼ばれる10の支援をおこなうことが義務とされています。支援の内容は次の通りです。

支援計画具体的な支援内容
事前ガイダンス在留資格認定証明書交付申請前または在留資格変更許可申請前に、労働条件・活動内容・入国手続・保証金徴収の有無等について、対面・テレビ電話等で説明
出入国する際の送迎・入国時に空港等と事業所または住居への送迎
・帰国時に空港の保安検査場までの送迎・同行
住居確保・生活に必要な契約支援・連帯保証人になる、社宅を提供する等
・銀行口座等の開設、携帯電話やライフラインの契約等を案内、各手続の補助
生活オリエンテーション円滑に社会生活を営めるよう日本のルールやマナー、公共機関の利用方法や連絡先、災害時の対応等の説明
公的手続等への同行必要に応じ住居地・社会保障・税などの手続の同行、書類作成の補助
日本語学習の機会の提供日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供等
相談・苦情への対応職場や生活上の相談・苦情等について、外国人が十分に理解することができる言語での対応、内容に応じた必要な助言、指導等
日本人との交流促進自治会等の地域住民との交流の場や、地域のお祭りなどの行事の案内や、参加の補助等
転職支援(人員整理等の場合)・受入れ側の都合により雇用契約を解除する場合の転職先を探す手伝いや、推薦状の作成・求職活動をおこなうための有給休暇の付与や必要な行政手続の情報の提供
定期的な面談・行政機関への通報支援責任者等が外国人及びその上司等と定期的(3か月に1回以上)に面談し、労働基準法違反等があれば通報

参考:『外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組

これらの支援計画の策定が自社でおこなうことが難しい場合は、これらのサポートを「登録支援機関」に委託することができます。

在留資格の申請

雇用契約を締結し、支援計画を策定したら在留資格の申請を行います。

海外から人材を受け入れる場合と、すでに日本に在留している外国人を受け入れる場合とで、申請の種類と必要な書類が異なるため注意しましょう。詳しくは出入国在留管理庁の『在留資格「特定技能」』から確認できます。

就労開始

在留資格の取得・更新が完了したら、就労開始です。就労開始後も支援計画に則って引き続き特定技能外国人を支援していきます。

雇用の後に必要な手続きについて

特定技能外国人が入社後した後にも、場合によって必要な手続きがいくつかあります。詳しく見ていきましょう。

各種保険への加入手続き

特定技能外国人が働く場合も、日本人と同様に保険の加入が必要になります。

ハローワークに『雇用保険被保険者資格取得届』を提出し、労災保険・雇用保険加入の手続き、健康保険・厚生年金加入の手続きなどを行いましょう。所得税や住民税も課税対象です。

四半期ごとの報告

特定技能外国人の雇用にあたって、四半期ごとに以下の書類を管轄の地方出入国在留管理庁へ報告することが義務付けられています。

  • 支援実施状況に係る届出書
  • 定期面談報告書
  • 1号特定技能外国人支援対象者名簿

変更事由が発生した際の報告

当初に届け出た情報から変更がある場合にも、管轄の地方出入国在留管理庁へ報告が必要になります。具体的には、就業場所の変更、労働時間の変更、引越しによる住所の変更などです。

期限は変更事由が発生してから14日以内とされています。

ビザの更新

雇用している特定技能外国人のビザ(在留資格)の期限が近づいてきた場合、更新の申請が必要です。

ビザの更新は在留期限の3ヶ月前〜当日までにおこなう必要があり、1日でも過ぎるとオーバーステイとなり罰金が課されることがあるため、ビザの期限に注意しておきましょう。

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登録支援機関への委託で各手続きのサポートが得られる

ここまでで説明した通り、特定技能外国人の雇用には、数多くの書類の準備やサポートが必要になります。しかし、そもそもの人材不足を解決すべく外国人の雇用を進めていく中で、別の業務に限られたリソースを割かれてしまっては本末転倒です。

そこで、外国人雇用を全面的にサポートしてくれる「登録支援機関」に委託するという選択肢があります。

登録支援機関が書類の作成や支援計画の策定、オリエンテーションなどを代わりにおこなってくれることで、社内の負担を軽減することができます。

また、母国語での対応が可能な場合が多く、外国人にとっても各所とのコミュニケーションが取りやすくなるでしょう。

関連記事▶︎ 登録支援機関を選ぶ8つのポイントと費用の相場について

特定技能外国人の雇用サポートなら『アイデムグローバル』

アイデムグローバルは、創業50年以上を誇るグローバル人材紹介サービスです。登録支援機関として受入れ支援もおこなっており、3,300名以上の特定技能内定実績(2025年1月1日時点)を誇ります。

母国語でのサポートは6か国語(ベトナム語、ミャンマー語、英語、韓国語、カンボジア語、インドネシア語)に対応しており、企業と外国人人材のどちらにも寄り添った人材紹介と支援が可能です。

特定技能外国人材の支援にお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

アイデムグローバルへのお問合せはこちら

特定技能外国人の雇用にあたっての注意

特定技能外国人を雇用するにあたって、注意したい3つの点は以下の通りです。

在留カードは入念にチェック

特定技能外国人の在留カードで確認したいポイントは、

  • 在留カードが本人のものかどうか

  • 在留期間を過ぎていないか

  • 偽造カードではないか

の3つです。

在留カードの顔写真と本人を照らし合わせて本人確認をすること、在留カードの透かし文字やホログラムを確認して偽造カードでないことを確認することを忘れないようにしましょう。

Webサイトでカード番号が失効していないかどうかを確認することもできます。

▶︎出入国在留管理庁|在留カード等番号失効情報照会

試験の合格証書を必ず提出してもらう

特定技能外国人として日本で就労するためには、「特定技能評価試験」と「日本語能力試験」の2つに合格していることが要件となります。

これらの証明として必ず合格証書を提出してもらいましょう。

協議会への加入を忘れない

2024年6月15日以降、特定技能外国人の在留資格を申請する前に協議会への入会が必要になっています。

協議会とは、特定技能制度の適切な運用のために特定技能の分野ごとに設置されているもので、制度の周知や地域差の調整などの役割があります。自社が対象となる分野の協議会への加入を忘れないようにしましょう。

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特定技能外国人の雇用にかかる費用

特定技能外国人を雇用する際、大きく分けて次の5つの費用が必要になります。

  • 在留資格の申請費用
  • 人材紹介の手数料
  • 送り出し機関の手数料
  • 登録支援機関への委託費用
  • その他費用

在留資格の申請費用

特定技能外国人の在留資格を申請する際の費用として、15〜25万円程度かかります。これは、在留資格の申請そのものにかかる手数料ではなく、行政書士や登録支援機関に依頼する場合にかかる費用となります。

個人で申請をするケースはほとんどなく、手続きを委託するのが一般的です。

人材紹介の手数料

人材紹介会社を介して特定技能外国人を雇用する場合、1人あたり10〜50万円程度の手数料がかかります。

分野によって相場が異なるため、サービス内容によっては50万円を超えることもあります。

送り出し機関の手数料

特定技能外国人の母国側の送り出し機関に支払う手数料も発生します。費用は1人あたり20〜60万円程度が相場です。

なお、支払いの名目としては企業と契約した監理団体への支払いになり、その金額の中に送り出し機関への手数料が含まれています。

登録支援機関への委託費用

特定技能外国人の雇用サポートを登録支援機関に委託する場合は、月額の場合1人あたり2〜2.5万円程度が相場です。

支援機関によっては支援項目ごとに費用を支払う場合もあり、この場合は1回につき2〜8万円程度となっています。

関連記事▶︎ 登録支援機関の委託にかかる費用は?内容や注意点、自社支援の方法も

その他費用

海外に居住している外国人を雇用する場合、渡航費用や住居の準備費用を負担することがあります。

国にもよりますが、渡航費用は4〜10万円程度、住居準備費用は初期費用の負担をすることになります。

特定技能外国人の募集方法

特定技能外国人を受け入れるための求人方法としては、求人サイトもしくは人材紹介会社の活用が一般的です。

求人サイト

日本人の求人と同様に求人サイトを活用して特定技能外国人を募集することができます。

ただし注意したいのが、国籍に関わらず応募することができる求人サイト上で、差別的な表現や国を指定しているような表現は避けなければならないということ。

例えば、「外国人歓迎」などといった表記をすることはNGにあたりますが、「ベトナム人が多く在籍しています」といった事実の表記はOKとなります。

人材紹介会社

外国人雇用に特化した人材紹介会社を活用し、特定技能外国人の紹介を受けるのもおすすめです。

人材の紹介だけでなく、登録支援機関として手続きや支援のサポートもおこなっているケースが多く、この場合は人材紹介から雇用後の支援までワンストップで行えます。リソースを最適化できるだけでなく、外国人労働者にとっても働きやすい環境を作りやすいでしょう。

アイデムグローバルは、登録支援機関としてのサポートだけでなく、人材紹介サービスも提供しています。

特定技能外国人材の受入れ・人材探しを検討している企業様は、下記からお気軽にお問合せください。

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まとめ

特定技能外国人の雇用は、不足している人材を補うことができる有効な手段です。採用には多くのステップが必要になりますが、登録支援機関や司法書士などに委託をすれば、企業で準備するものはそこまで多くありません。

慣れない外国人雇用では、せっかく良い人材が見つかりそうでもサポート体制に不安を覚えることで雇用が決まらないといったことも起こりうるでしょう。

特定技能外国人の雇用に向けて、事前にしっかりと知識を身につけておくことをおすすめします。